2021 Fiscal Year Research-status Report
議院内閣制の政治経済学:内閣不信任決議と議会解散権を分析する理論的枠組みの構築
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20K01734
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浅古 泰史 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70634757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 選挙競争 / 政治的エージェンシー問題 / 応用ゲーム理論 / 議院内閣制 / 分極化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、議院内閣制下における選挙・議会を分析するモデル、および2つの政治的エージェンシー問題(政治家が有権者の好む政策を実行しないモラルハザード問題と、好ましくない資質を有する政治家が当選してしまう逆選択問題)を分析するモデルの基本的枠組みを提示することである。
2021年度は以下の3点の研究をはじめるに至った。第1に、公約と政治的エージェンシー問題の関係性に関する研究である。政治家は選挙前に公約を発表する。選挙後に公約を破る場合、次の選挙での敗北など、有権者から何らかの罰が下される場合がある。本研究では、「公約を破る」という行為が、政治家の能力の低さを示すシグナルとなっていると考えたうえで、「公約を破る」という行為が罰せられないようにするために、政治家が取る行動に関して理論的に検証し、政治的エージェンシー問題に公約が与える影響を明らかにしている。第2に、欧州を中心とした多くの議院内閣制の国では、極端な政策を好む極右・極左政党が生じている。その発生のメカニズムを理論的・実証的に明らかにしようとする研究である。極端な政党の台頭が既存政党を規律付け、かつその資質を明らかにするという点で、議院内閣制下の政治的エージェンシー問題と密接にかかわる研究になっている。第3に、議院内閣制の国を中心に生じている政治的分極化のメカニズムを、理論的かつ実験室実験を通して明らかにしていく研究である。政治的エージェンシー問題との関係は薄いが、近年の議院内閣制での政治の在り方を考えるうえで重要な視点を与えるものになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による影響で、当初予定していた海外学会や国内学会・セミナーにおける発表の機会は減り、研究に対するコメントを得る機会も多くが失われた。よって、研究は進んでいるものの、その改訂・改善に関しては遅れている。しかし、2021年度から新たにはじめた研究もあることから、おおむね順調に進展していると言える。また、学会やセミナーの多くも再開されてきていることをふまえれば、2022年度に取り戻していくことは可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、上記の三つの研究を論文として仕上げ、多くの学会やセミナーで発表していく。そこで得られたコメントを基に、改訂・改善を行い、来年度中の投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による影響で、当初予定していた海外学会や国内学会・セミナーにおける発表の機会は大幅に減ったことにより、主に旅費を中心に予定していた予算を消化することができなかった。そのため、次年度使用額が生じてしまった。
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