2022 Fiscal Year Annual Research Report
China's demographic change and its impact on the bilateral US current account balance with China: Theory and Empirics
Project/Area Number |
20K01760
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
稲垣 一之 南山大学, 経済学部, 教授 (70508233)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 米中経常収支 / 平均寿命 / 国際資本移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が計画の段階で仮説として提案した「平均寿命ギャップと経常収支のU字型関係」の存在について、アメリカと中国のデータによって立証することに成功したため、査読付きジャーナルへ投稿した。これは、前年度の成果である。1年半程度の査読期間を経て本年度に審査結果が出されたが、残念ながら採択されなかった。本年度の残りの期間では、査読者からのコメントを参考にして論文を修正し、別の査読付きジャーナルへ投稿した。 一方、前年度における研究推進方策でも触れた通り、本研究が焦点を当てる少子化・高齢化による労働力の低下への対処として、ロボットを活用するケースが増えてきた。そのため、本研究の拡張として、本年度ではロボット資本を含む2国経済モデルを新たに構築し、ロボットによる生産自動化が国際資本移動に与えるインパクトを理論的に検証した。その結果、ロボット資本のセットアップ費用を低下させる技術ショックが生じた場合に、生産のロボット化と経常収支の改善が両立することを証明することが出来た。 少子化・高齢化による労働者不足に直面する国々を中心に、世界各国のロボット需要が今後もさらに増大することは確実視されている。このトレンドの中で、世界で最もロボット稼働台数を増やしている国が、中国である。そのため、人口動態と生産自動化のインパクトを同時に分析することは、今後の中国経済や米中経常収支を考察するうえで重要である。本研究では、その基盤を構築することが出来た。
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