2020 Fiscal Year Research-status Report
アメーバ経営システムの効果を促進する組織要因に関する実証的研究
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20K02050
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
渡辺 岳夫 中央大学, 商学部, 教授 (00294398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメーバ経営システム / インタラクション / 集約的効力感 / プレゼンティズム / 生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,アメーバ経営システム(以下,AMS)の特性や効果に影響を及ぼす組織要因を特定するとともに,その要因がいかなるメカニズムを経てAMSの特性に対するポジティブな認知や効果を抑止(促進)しているのかを,AMSの導入経験のある企業の組織成員を対象として,実証的に明らかにすることである。 当該研究初年度の2020年度においては,AMSの効果に影響を及ぼすと思われる組織環境の諸要因の導出するために,AMSのみならずミニ・プロフィットセンター・システム(以下,MPCS)に関する先行研究,ならびに渡辺(2017)のモデルの構成要素に関する先行研究を網羅的にレヴューする。レヴューにあたっては,組織環境要因の種類,影響の対象(渡辺(2017)モデルのどの要素に影響を及ぼしているのか)と内容(抑止か促進か),理論ベース(経済学,社会学,心理学など,心理学の場合,例えば自己決定理論,内発的動機づけ理論等より詳細に分類),および研究方法(規範的研究,ケース/フィールド研究,サーベイ研究等)の視点から整序した。 レビューの結果,重要な発見事項について,以下では言及する。AMSの特性に対する認知や効果に影響を与える組織的要因の一つとして,プレゼンティズム(Presenteeism)に着目するに至った。これは出勤はしているが,十分に職務遂行のために能力を傾注できていない状態のことを意味する。当該概念と管理会計システムとの関連を考察した先行研究は皆無であるが,生産性との関連について考究した先行研究をベースにして,AMSの効果を提言せしめる要因として措定することができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に照らして,概ね順調に研究が進捗している理由は,次の通りです。第一に,当該研究課題に対して振り向けることができると当初予定していたエフォートを,予定通りに傾注できたということである。第二に,文献収集を順調に行うことができたということである。第三に,文献レヴューの際に,重視するポイントを,研究対象の種類と範囲,目的機能,および理論ベースの3つに事前に絞り込んでいた点を挙げることできよう。チェックするポイントを限定したため,限られた時間の中で,多数の文献をレヴューすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を今後推進するために必要な方策は,とりわけ組織心理学と社会心理学に関する文献をレヴューし,プレゼンティズムの概念,ならびにその帰結や先行要因についての理解を深めることである。当該概念はアブセンティズム(欠勤)に比べて,研究蓄積は少ないが,2000年以降,徐々に蓄積されつつあるので,それらを網羅的にレヴューしたい。また,プレゼンティズムは「健康経営」との関連でも着目されつつあるので,健康経営に関する文献のレヴューも欠かせない。 以上の文献レヴューによって抽出された先行研究の成果を統合し,AMSの特性や効果と関連を推定する理論的なモデルを構築することもまた,非常に重要である。なぜなら,ここで構築された理論的な分析モデルは,2022年度以降に予定されている実証研究のベースとなり,本研究課題を推進するうえで,非常に重要なな位置づけを占めているからである。
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