2021 Fiscal Year Research-status Report
アメーバ経営システムの効果を促進する組織要因に関する実証的研究
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20K02050
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
渡辺 岳夫 中央大学, 商学部, 教授 (00294398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメーバ経営システム / プレゼンティズム / 自己効力感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,アメーバ経営システム(以下,AMS)の特性や効果に影響を及ぼす組織要因を特定するとともに,その要因がいかなるメカニズムを経てAMSの特性に対するポジティブな認知や効果を抑止(促進)しているのかを,AMSの導入経験のある企業の組織成員を対象として,実証的に明らかにすることである。 2021年度においては,AMSの効果に影響を及ぼすと思われる組織環境の諸要因の導出するために,主として,病気の状態にも関わらず出勤するという現象を捉える概念である「プレゼンティズム(Presenteeism)」に着目した。近年欧米では,プレゼンティズムが企業にとって非常に重大な負の影響をおよぼすとの認識の高まりを受け,労働衛生学や疫学などの健康科学の領域や,産業組織心理学や人的資源管理論といった経営学の領域など,様々な分野でプレゼンティズムに関する研究が行われている。これに対して,日本におけるプレゼンティズムに関する研究は,欧米のそれと比べて圧倒的に数が少なく,健康科学の領域に属するものがほとんどであり,経営学の領域に属するプレゼンティズムに関する研究はほぼ行われていないと言ってよい。 以上より,2021年度においては,欧米における健康科学領域および経営学領域のプレゼンティズム研究を網羅的にレヴューした。そして,プレゼンティズムがAMSの特性に影響を及ぼし,それが組織成員の行動に対してマイナスに作用し,最終的にアメーバ単位のパフォーマンスを抑制しているモデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 研究目的に照らして,概ね順調に研究が進捗している理由は,次の通りです。第一に,当該研究課題に対して振り向けることができると当初予定していたエフォートを,予定通りに傾注できたということである。第二に,文献収集を順調に行うことができたということである。第三に,プレゼンティズムに関する文献レヴューの際に,重視するポイントを,プレゼンティズムの定義,測定方法,先行要因,および結果要因に事前に絞り込んでいた点を挙げることできよう。チェックするポイントを限定したため,限られた時間の中で,多数の文献をレヴューすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
分析モデルの構築が完了したため,次年度以降における同モデルの経験的妥当性の検証のための準備を適切に行うことが必要である。まず,プレゼンティズムの測定方法は,学問領域によって多様であり,本研究においてどのように測定するのかについて,慎重に判断しなければならない。まず事前に必ず,協力企業を探索したうえで,プレゼンティズムの測定方法の妥当性を確認するために,予備調査を実施することが必要であると考える。そのうえで,本調査を質問票調査によって実施し,質問票回収後は,単純集計を行い,その後に多変量解析の手法を駆使して統計解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)