2022 Fiscal Year Research-status Report
ディスクロージャー制度改革の有効性に関する調査: テキスト分析に基づく実証分析
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20K02052
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中野 貴之 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70287952)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ディスクロージャー制度 / 記述情報 / テキスト分析 / 経営者による経営成績等の分析(MD&A) / SNS / Twitter |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究実績は、以下のとおりである。 第一に有価証券報告書の記述情報のうち、経営成績等の分析(Management Discussion and Analysis: MD&A)の」に関する研究成果を公表した。MD&Aの記載内容がどのように変化してきているかを、2004年~2021年のテキストデータを対象にトピックモデルを用いて検証した。その結果、近時のディスクロージャー制度改革に伴い経営戦略および会計上の見積等に関する記述が充実したことを示す証拠を得た。また経営者は、同改革後、より幅広いトピックについて議論するようになったことを示唆する証拠も得た。これらの発見事実は、近時のディスクロージャー制度改革がMD&A開示に、決して小さくはないインパクトを及ぼしていることを示唆するものである。 第二に、SNS(Twitter)によるディスクロージャーについて研究し、学会発表を行った。日本の上場企業が発信するTwitterのデータを収集・分類した上で、SNSを通じてどのような決算関連情報が発信されているか、また投資家はどのような情報に価値を見出し拡散しているかについて検証した。その結果、投資家は、決算短信をはじめ公表済の情報拡散を目的とするツイートよりも、決算説明会の開催・録画をはじめ未知ないしは新情報の公表の可能性を示唆する情報をリツイートし強く反応していること、個人投資家の所有比率が大きいほど,決算関連情報はリツイートされる傾向が強いことと整合的な証拠を得た。 この他、記述情報の開示制度の動向に関する論稿を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テキストデータの分析に当初の予想よりも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
対面によるミーティングも可能になってきているので、研究者との意見交換も積極的に行っていきたい。
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Causes of Carryover |
OVID-19の影響により旅費の支出がほとんどないためである。対面への制約が小さくなっているので、旅費の支出を行ったり、パソコンの購入に充当したい。
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