2020 Fiscal Year Research-status Report
Structures and Agents of Linear Developmentalism
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20K02159
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
林 浩一郎 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (80736645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 勇輔 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (70760734)
植田 剛史 愛知大学, 文学部, 准教授 (30709267)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リニア開発主義 / 新自由主義/ケインズ主義 / リニア・インパクト / 名古屋駅 / リノベーション / 都市コミュニティ / 都市政治 / 都市空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、名古屋駅周辺における「リニア開発主義」の構造と主体を考察する社会学的研究である。「リニア開発主義」とは、2027年のリニア中央新幹線開通を契機として、経済成長を目指す政治経済システムとそのイデオロギーのことだ(林 2020a)。 高度経済成長期のケインズ主義的な「均等発展」という国土開発の建前から、「選択と集中」を志向する新自由主義的な「都市再生」政策へという潮流のなかで、「リニア・インパクト」(江口 2014)に関する考察は喫緊の課題である。リニア開発主義とは、ケインズ主義的開発主義か、新自由主義化された開発主義か、その混合か。リニア開発主義は、名古屋駅周辺にどのようなインパクトを及ぼすのか。「新自由主義化する都市」論(Brenner and Theodore 2002)を批判的に参照し、考察している。 具体的には、(1)林(名古屋市立大学)が、名古屋駅西地区の都市コミュニティを、(2)木田(椙山女学園大学)が名古屋駅周辺の都市政治を、(3)植田(愛知大学)が都市空間を調査研究している。これらにより、名古屋の都市空間をダイナミックに変動させる新たな開発の論理を明らかにしている。 初年度の2020年度は、主に2点の成果があった。(1)日本都市社会学会年報に、名古屋駅西地区におけるリノベーション事業に関するモノグラフが掲載された。また、『転換期・名古屋の都市公共政策』という書籍に、「『都市再生』の社会学――開発主義のなかを生きる」を寄稿した。これらのなかで、「草の根新自由主義」という概念を提示した。(2) 名古屋駅周辺の開発政治を分析した論文を執筆した。ただし、投稿したものの掲載に至らなかったため、現在加筆修正を進めている。このほか、関連する政策文書を体系的に収集し、リニア中央新幹線整備計画の策定過程を第二次安倍政権下の経済政策との関係から分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染流行により、インタビュー調査が困難な時期があった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)名古屋駅西の都市コミュニティ調査:①駅西での新たなリノベーション事業の開始に伴い、関係者へのヒアリング調査を行った。その成果は、2021年地域社会学会大会で報告予定である。また、1964年の東海道新幹線開通に向け実施された「駅西都市改造事業」が、地域社会にいかなるインパクトを及ぼしたか。駅西の人びとにとって、いかなる意味をもったかを調査する。 (2)質問紙調査:過去の調査で用いられた質問項目を収集し、本研究の目的に合致したものをピックアップする予定である。また、本研究独自の調査項目を作成する。 (3)リニア開発にかかるエージェントの抽出:ドキュメント資料を基にリニア開発にかかわる団体・組織を抽出して相互連関を整理するとともに、構成メンバーのデータベースを作成する(この作業は、これら組織・団体を対象とした調査のサンプリングを兼ねる)。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の流行により、旅費が支出できなかったため。また、インタビュー調査が困難な時期があったため。
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Research Products
(3 results)