2023 Fiscal Year Research-status Report
薄暮時や夜間における視覚障害者の行動評価と視機能との関連
Project/Area Number |
20K02199
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
藤田 京子 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30297824)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 安季子 (大野安季子) 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10440710) [Withdrawn]
室谷 健太 久留米大学, 付置研究所, 教授 (10626443)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 低輝度視力質問票 / クオリティオブライフ / 網膜色素変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚に障害があると薄暮時や夜間など暗い環境における周囲の状況の認識が困難になるため行動が著しく制限されることが予測されるが、これまで我が国には暗所での行動制限や精神面を問う質問票がなかったため把握できなかった。 そこで我々は欧米で用いられている暗所での行動や心理を問う質問票であるLow Luminance Questionnaire (LLQ)を翻訳し、Low Luminance Questionnaire-Japanese version (LLQ-J)を作成するに至った。LLQ-Jは暗所の行動に特化した質問項目から成り、欧米のデータとの比較も容易である。 本研究では我が国における主な社会的失明原因疾患である緑内障25例、糖尿病網膜症15例、加齢黄斑変性55例、網膜色素変性6例のLLQ-Jによるデータを集積した。また通常視力に加えneutral density filter装用下で視力を測定(低輝度視力と定義)し通常の視力値との差を求め、行動困難との関連も調べた。結果、周辺視に関連する行動と低輝度視力、移動・弱い照度下での行動・周辺視に関連する行動が通常視力と低輝度視力との差異に相関した(p<0.05)。一方、通常視力と暗所での行動困難スコアとの相関は低く、通常視力では行動困難を予測できないことがわかった。 今回対象にした4疾患の中で網膜色素変性のスコアが低下していたが、症例数が6例と少なかったため症例数を増やして視機能と困難な行動との関連について検討する必要があると考える。網膜色素変性イコール社会的失明と捉えられがちであるが、進行程度や予後は個々の症例ごとで異なることは自明の理である。困難に感じる行動も同様と予測される。LLQ-Jスコアと低輝度視力や両眼視野との関連をみることでどのような症例にどのようなケアが必要になるかを調べ、ステレオタイプなロービジョンケアからの脱却を目指すべく症例を集積中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で予定症例数の集積が困難であり解析ができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
LLQ-Jを用いて網膜色素変性患者のデータを集積中である。 予定症例数に達した時点で視機能とスコアとの関連を評価し、論文化する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍でデータ集積や解析が遅れてしまったため次年度使用額が生じてしまった。 今年度中の論文化にあたり英文校正及び投稿代として使用する計画である。
|