2022 Fiscal Year Research-status Report
地域共生社会づくり・生活困窮者支援と連携した隣保館のあり方についての調査研究
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20K02319
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Research Institution | Buraku Liberation and Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
棚田 洋平 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), 企画・研究部, 研究員 (00639966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 宏幸 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), 企画・研究部, 非常勤研究員 (20202286)
川野 英二 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20335334)
垣田 裕介 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (20381030)
白波瀬 達也 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (40612924)
熊本 理抄 近畿大学, 人権問題研究所, 教授 (80351576)
山本 崇記 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80573617)
寺川 政司 近畿大学, 建築学部, 准教授 (90610650)
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (30582382)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 隣保館 / 地域共生社会 / 生活困窮者支援 / 社会福祉 / 被差別部落 / 同和地区 / 差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造的に生活困窮者の集住地域となってきた被差別部落において、地域福祉の実現や差別の解消などの取り組みを進めていく際に、地域の拠点としての機能を果たしてきた隣保館の役割に着目する。 特別措置としての同和対策事業が2002年に終了して20年経つが、この間に、格差や貧困の問題は社会全体の課題となり、生活困窮者自立支援法の施行(2015年施行、2018年改正)や社会福祉法の一部改正(2021年)がおこなわれ、地域共生社会の実現に向けた諸施策が展開されている。他方で、2016年には、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法が相次いで施行され、その他の人権課題についても同様の法整備の動向がみられ、差別解消に向けた教育・啓発の取り組みがよりいっそう求められている。また、2021年には、各地で立て続けに発生している地震や水害などの災害をふまえて、改正災害対策基本法が施行された。 こうしたなか、社会福祉法にもとづく第二種社会福祉事業施設としての隣保館の役割はますます重要になってきていると言える。地域福祉課題を解決するための相談・支援、あらゆる差別解消に向けた教育・啓発、災害時における避難場所の提供や相談・支援といった役割を果たす地域拠点のひとつとして、隣保館を位置づけることができるだろう。 そのような問題意識のもと、上記の諸々の一般施策に隣保館がどのように位置づいているのか、また位置づけることが可能であるのかを検証するために、2021年度は全国の隣保館(814館)とその設置自治体(382市町村)を対象にして、質問紙調査を実施した。最終的に、それぞれ半数(58.0%、54.2%)を超える回答があった。 2022年度は、それらの結果について集計・分析作業を進め、その一次結果をとりまとめるとともに、その結果内容をふまえた、訪問聞き取り調査の検討をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、前年度(2021年度)に実施した質問紙調査の回答結果について集計・分析作業を進め、その一次集計をとりまとめた。それらの結果については、調査実施に協力いただいた、全国隣保館連絡協議会(全隣協)の関係者にも、打合せ会議や研修会等をとおして共有・報告した。また、それらの結果をもとに、最終年度に実施する、隣保館・設置自治体を対象にした訪問聞き取り調査の候補について、全隣協関係者とも協議しながら検討・調整を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(1年度期間延長)となる2023年度の前半期は、2021年度に実施した質問紙調査の結果をもとに、特徴的な隣保館・自治体を対象にした、訪問聞き取り調査の準備と実施を進める。並行して、質問紙調査と訪問聞き取り調査の結果についてそれぞれとりまとめをおこない、後半期にそれらの成果報告を公開研究会や紀要の特集という形でおこなう。
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Causes of Carryover |
2022年度についても、新型コロナウイルスの感染拡大状況が引き続いており、最終年度に実施を予定していた、隣保館・設置自治体を対象にした訪問聞き取り調査の実施を見送らざるをえなかった。その代わりに、2021年度に実施した質問紙調査の集計・分析に注力した。あわせて、質問紙調査の結果、及び関係者との協議をふまえて、訪問聞き取り調査の訪問先の検討・調整に時間を費やすことができた。
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Research Products
(6 results)