2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規植物由来エストロゲンの探索と更年期症状軽減効果の評価
Project/Area Number |
20K02402
|
Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
七島 直樹 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (80333730)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 祐範 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30514591)
堀江 香代 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (30626825)
前多 隼人 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80507731)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | カシス / フィトエストロゲン / エストロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カシスに含有される新規のフィトエストロゲンを探索した。これまでの研究により、カシスから新たに、フィトエストロゲン活性を有していると思われる化合物Aを分取している。令和5年度はカシスから分離した新規のフィトエストロゲン(化合物A)について、ヒトエストロゲン受容体(ER)α及びERβのリガンド結合ドメインとの結合の可能性を調べるため、ドッキング解析(In silico)を行った。エストロゲン(E2)を結合したERαの立体構造に対して化合物Aのドッキングを試みたところ、E2を結合したERαおよびERβのコンフォメーションでは、ERαのリガンド結合ポケットには化合物Aの立体構造が収容可能な空間がなく、化合物Aが結合するのは難しいと考えられた。したがって、E2よりもかさ高い複合体の立体構造を使用してドッキング解析を試みるなどの改善策が必要であることが示唆された。 研究期間全体を通して、我々はカシスから微量のエストロゲン類が検出した。検出されたエストロゲン類については、超高速液体クロマトグラフィーにより単一物質のピークの分取、精製を行い、さらに、液体クロマトグラフィー質量分析により、組成式を算出し、構造を推定した。その結果、当初エストロゲンと思われた画分は、エストロゲンではなく、他の有機化合物Aであった。次に、化合物Aについてフィトエストロゲン活性を評価したところ、MCF7での細胞増殖の亢進やエストロゲン受容体下流遺伝子の発現亢進、さらにISHIKAWA細胞でのアルカリホスファターゼの発現亢進が認められた。また、T47D-KBluc細胞を用いたレポーターアッセイ法では、化合物Aを細胞に投与すると、濃度依存的に活性が上昇した。加えて、競合法によるERαとの結合アッセイでは、ERαと結合する結果が得られた。以上より、カシスから単離された化合物Aは新規のフィトエストロゲン活性を有する分子であることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)