2023 Fiscal Year Research-status Report
電界紡糸法とインクジェット法による再生繊維の持続可能型染色加工
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20K02417
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
安川 涼子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (30646633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 景子 奈良女子大学, 工学部, 特任教授 (30243356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 染色加工 / 機能加工 / ファインバブル / 浸染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電界紡糸法による再生繊維の作製、インクジェット法での天然物を用いた染色加工について、環境低負荷で持続可能な繊維染色加工の実現に向けて研究を進めている。 これまで、天然由来物質の茶カテキン水溶液と酸化剤の過よう素酸ナトリウム水溶液を用いて茶カテキンを酸化させて発色させるインクジェット染色を中心に行ない、2022年度には、日本家政学会の秋季研究発表会で、媒染剤・熱固着処理不要の環境配慮型インクジェット染色について、研究報告を行なった。さらに、薬剤を用いないドライプロセスによる布の酸化処理の方法である大気圧プラズマ酸化処理を用いて茶カテキン水溶液で処理した布へ摘要した。しかしながら、大気圧プラズマ酸化処理した茶カテキン布帛は、過よう素酸ナトリウム水溶液を用いた時のようにプラズマ処理後すぐから1週間程度でも濃色化は見られなかった。さらに2023年度は、茶カテキンの酸化方法としてファインバブル水に注目した。空気を取り込んだファインバブル水を用いて茶カテキンの浸染を試みたところ、通常の蒸留水による染色と比較して加温させた場合に濃色になった。一般的にインクジェット染色では、ノズルの空打ちを防ぐため染色液を脱気する必要がある。ファインバブル水を用いることはインクジェット法に不向きと考えられるものの、浸染での天然物の濃色化の可能性は環境低負荷や持続可能な染色加工として意義があると考えられる。 最終年度はファインバブル水および洗濯堅ろう度試験などの追加実験や論文作成や研究発表等を行ない、できるだけ社会へ発信する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍は終息したものの、学内での実験、学外への出張や学会発表を行ないづらい状況は続いている。本務校での教育業務・広報活動や学校業務の負担は、近年増大しており、実験時間の確保が非常に困難になりつつある。研究については、実験の進捗が思わしくないため、全体的に遅れを生じている。 研究期間の再延長申請を認められたため、研究分担者と相談して追加での実験データの収集と研究内容をまとめて研究発表や論文投稿できるように進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の再延長申請による最終年度であることを考慮して、ファインバブル水による染色加工の実験などに要点を絞り、論文作成、学会発表等を中心に行ない、できるだけ社会へ発信していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
進捗状況の遅れと学会発表や研究打合わせのオンライン化等に伴い、旅費等を執行できなかった分の残金等が生じた。また、実験装置、情報機器、試薬、消耗品など物品全般については、年々価格高騰しており、使用計画を立てにくい状況は昨年度よりも増している。繰越金については、次年度の物品費、旅費、謝金、論文投稿費等に使用する予定である。
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