2021 Fiscal Year Research-status Report
ポスト高大接続改革を見据え「高大接続型学力」の特質と形成環境を解明する質的研究
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20K02512
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大谷 尚 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特任教授 (50128162)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高大接続 / 高大接続型学力の形成過程と環境 / 受験学力 / 質的研究 / 観察研究 / インタビュー研究 / 国際的知見の獲得 / オンライン調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
①高大接続型学力形成を志向する学校の授業やその他の教育・学習活動の観察研究、②そのような学校の教職員と卒業生に対するインタビュー研究、③そのような学校のカリキュラム、学習指導案、教育実践報告、研究紀要等を対象とする文書研究、④大学教員や大学入学者選抜担当教務系職員への、大学生の学力への高校までの教育の反映に関するインタビュー研究、⑤米国の、高大接続に関わる高校側のカレッジ・カウンセラー、インデペンデント・カウンセラーや、大学側で入学者選抜に関わるアドミッションズ・オフィサーらに対する高大接続型学力についてのインタビュー調査と、これらの人々の会合であるNACAC、AACRAO、HECA等に参加しての情報の収集と分析を行う予定であった.しかし新型コロナ感染症が終息しないため、上記のうち②を対面で数回実施できた以外は、すべてオンラインやメール等の代替手段で進めた(AACRAO Annual MeetingとTHE Asia Universities Summitにもオンラインで参加した).それを通して高大接続型学力形成を行う学校の文化的環境等を検討した.また高大接続改革に基づく学習指導要領の改訂などを背景とする、高校での従来とは異なるタイプの学力形成の努力について現状と動向、その問題についての情報を把握することができた.なお、前年度の国際会議での日本の高大接続改革の現状と問題についてのキーノートスピーチにその後の状況等を加筆した上で英文校閲を受け、紀要に掲載し機関リポジトリから公開した.これは日本の高大接続改革について英文で発信する希少な情報である.なお、所属施設でオンラインシンポジウム「高大接続研究の対象と方法 -高大接続の何をどう研究すべきなのか-」を主催し、その検討を通して高大接続のための研究についての議論を深めた.その成果も同様に紀要に掲載し公開した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本計画は、インタビュー調査や観察調査を中心とする質的アプローチによる研究である.またその際に同時に行う資料収集とその検討も重要である.しかし新型コロナ感染症の拡大により、それらが実施できなくなっている.前年度は感染状況の状態が比較的落ち着いたときに、一度だけ私立大学にインタビューで訪問することができたが、それ以外は、海外調査や国際会議への参加はもちろん、他府県への旅行さえできない状態であるし、特に学校を訪問することができない.そのため、メールインタビュー、オンラインインタビュー、別の方法での資料収集、文献調査、インターネット調査、オンラインでの国際会議への参加、諸外国の高大接続問題と高大接続改革の動向の調査、得られた知見の関係する研究者や実践家との交流などを中心にして、研究を再構成している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って研究を推進し前年度までの調査・分析を発展させる.上記感染症が終息し次第、前年度に実施できなかった調査を積極的に開始し実施する.幸い、国際的に終息の傾向が出てきたため、しかし終息しなくても研究が推進できるよう、いっそうのオンライン化を検討している.
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Causes of Carryover |
前年度に引き続き新型コロナ感染症の影響を受け、観察調査、インタビュー調査のための国内出張と海外出張が実施できなかったためである.とくに本研究は訪問予定先の多くが学校(高校)であり、この状況で学校を訪問することは避けなければならなかった.そのため、少しでも良好な環境でオンラインインタビューやオンライン学会参加が可能になるような環境整備のために支出を行い、その効果は相当に得られているが、それでも結果として次年度使用額が生じた. なお今後の使用計画であるが、上記感染症は徐々に終息しつつあり、2022年には国際会議も対面あるいは対面とオンラインのハイフレックスで開催されるため、可能な限り参加することを計画している.
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Research Products
(3 results)