2022 Fiscal Year Research-status Report
ポスト高大接続改革を見据え「高大接続型学力」の特質と形成環境を解明する質的研究
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20K02512
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
大谷 尚 名古屋経済大学, 人間生活科学部教育保育学科, 特任教授 (50128162)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高大接続 / 高大接続型学力の形成過程と環境 / 受験学力 / 質的研究 / 観察研究 / インタビュー研究 / 国際的知見の獲得 / オンライン調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
①高大接続型学力形成を志向する学校の授業やその他の教育・学習活動の観察研究、②そのような学校の教職員と卒業生に対するインタビュー研究、③そのような学校のカリキュラム、学習指導案、教育実践報告、研究紀要等を対象とする文書研究、④大学教員や大学入学者選抜担当教務系職員への、大学生の学力への高校までの教育の反映に関するインタビュー研究、⑤米国の、高大接続に関わる高校側のカレッジ・カウンセラー、インデペンデント・カウンセラーや、大学側で入学者選抜に関わるアドミッションズ・オフィサーらに対する高大接続型学力についてのインタビュー調査と、これらの人々の会合であるNACAC、AACRAO、HECA 等に参加しての情報の収集と分析を行う予定であった. しかし新型コロナ感染症が終息しないため、上記のうち②は、基本的にオンラインやメール等の代替手段で進めた.それを通して高大接続型学力形成を行う学校の文化的環境等を検討した.また高大接続改革に基づく学習指導要領の改訂などを背景とする、高校での従来とは異なるタイプの学力形成の努力について現状と動向、その問題についての情報を把握することにつとめた.その際、このような状況でも教室で生徒の学習活動を観察できる、県の研究指定を受けた高校からの指導助言者としての依頼の機会などを最大限に活用して情報収集等を行い、それを研究倫理上の問題の無い方法で本研究に生かすことに努めた. ⑤については、2022/9/6 に帰国便搭乗前72時間以内のPCR検査陰性証明書の提示が不要になったため、2022/9/21-24に米国ヒューストンで開催された NACAC Conference 2022 に参加した.これは、本研究開始依頼、実施することのできなかった国際調査である.この調査詳細は本報告10に記した論文、大谷(2023)にまとめて公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由は、主に2つあり、次の通りである. 1. 新型コロナ感染症により、海外の調査ができなくなっていたこと 2. 新型コロナ感染症により、国内の学校での資料調査、インタビュー調査、観察調査ができなくなっていたこと 1.については、予定していた外国での調査が渡航制限によってできなくなってしまった.また参加を予定していた国際カンファレンスが開催されなくなってしまった.開催が再開されても、渡航制限によって現実には参加できなかった.ただし2022/9/7 から帰国便登場前72時間以内のPCR検査陰性証明書の提示が不要になったため、2022/9-21-24 に米国ヒューストンでの国際会合に参加できた.そこでの調査結果は、【研究実績の概要】に掲載した論文にまとめて公表した. 2.については、本研究の骨格を成す調査活動であるため、本研究の進捗に多大な影響を及ぼしている.諸学校は以前よりも来訪者を受け入れるようになったが、それでもいまだに教員も生徒も全員マスクをしており、研究者が授業をはじめとする生徒の学習活動を間近で観察し、教員や生徒にインタビューすることを依頼することが困難であるし、依頼しても許可を得にくい状態が続いている. そのため、このような状況でも教室で生徒の学習活動を観察できる希少な機会である県の研究指定校からの指導助言者としての依頼の機会などを有効に活用させて頂き、情報収集等を行ってきた.ただしこの方法では、研究参加者名や参加校名を完全に匿名化することができないので、そこで取得した情報は、研究倫理上、公表する研究には正式には利用することができず、あくまで、研究に関連する関連情報の提供を受けるに留めざるを得ない.しかしながら、この状況においては、このような機会も本研究にとって貴重な機会であるので、そこで得た情報を、研究倫理上問題の無い方法で本研究に最大限に生かすよう努めている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記1の国際調査については、2022年9月に再開できたため、2023年度も実施する予定である.調査実施機関及び期間については、現在、慎重に検討を行っている. 上記2の国内の学校における調査の最大の障害は新型コロナ感染症である.2023/5/8に同感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されたが、この感染症は完全に終息していない.そればかりか専門家会合は第8波を超える第9波の可能性も指摘している.そのため、学校での生徒の学習活動の観察や生徒へのインタビューに関する障害は依然として存続している. 今後、高校等と相談しながら、この方法での調査の実現の可能性を検討する.
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Causes of Carryover |
・次年度使用額が生じた理由 新型コロナ感染症により、国内・国際調査が実質的に不可能であったため、研究開始年度から研究の進捗が遅れている.2022年度は国際調査は実施できたが、国内調査とくに高校を訪問して行う生徒の学習活動の観察は依然として困難な状況が続いている. ・使用計画 昨年9月から、国際調査は実施できるようになってきているので、2023年度もこれを実施する計画である.また国内調査のうち、生徒の学習活動の観察以外の、教員や専門家への対面によるインタビュー等は依然よりも実施しやすくなってきたので、これを実施する計画である.
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Research Products
(1 results)