2020 Fiscal Year Research-status Report
公平で質の高い教育を追求する学校改善改革の比較研究
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20K02545
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
黒田 友紀 日本大学, 理工学部, 准教授 (60631851)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学校改善 / 質の高い教育 / 公平 / 授業づくり / 学校改革 / 比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、コロナウイルス感染症の影響で、年度末に予定していた海外調査を中止せざるを得なかった。そのため、主に、カナダにおける論文・資料の収集とその分析を行った。具体的には、以下のとおりである。 1.教育政策・制度・ガバナンス構造の解明:カナダ・アルバータ州とオンタリオ州における教育政策および教育制度について、論文・著書および州教育局の資料を収集し、分析を行った。 2.実地調査:令和2年度末にボストン市のハイスクールの校内研修への参観とインタビュー調査を実施予定で企画・調整していた。しかし、コロナウイルス感染症の拡大のため、海外調査を実施することができなかった。一方、日本における学校訪問調査は、2校のみ行うことができた。 3.研究の成果:カナダ・アルバータ州の教育制度・ガバナンス構造の解明について、「協働的なガバナンス構造とテスト・ガバナンスの展開:アルバータ州におけるアカウンタビリティ・モデルの形成」を佐藤仁・北野秋男編著『世界のテスト・ガバナンス』(2021年、東信堂)において分担執筆した。また、アルバータ州の教育制度の解明の一環として、教育改革の中で「教師であること」を支援する方策について検討を行い、「カナダ・アルバータ州における協働的な探究・対話を用いた行政・大学による教師支援」について、日本教育制度学会の課題別セッションで報告を行った。また、オンタリオ州における幼児教育政策の改革について、「カナダ・オンタリオ州のレッジョ・インスピレーション」を共同執筆した(浅井幸子・黒田友紀・北田佳子による共著、東京大学大学院教育学研究科紀要第60巻、2021年)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、コロナウイルス感染症の拡大の影響で、当初予定していた米国・ボストン市のハイスクールでの校内研修への参観とインタビュー調査を実施することができなかった。また、予定されていた国内の学校調査についても、休校の関係で学校訪問や校内研修が中止となる学校が多く、研究を十分に進めることができなかった。米国・ボストン市のハイスクールや日本の小中学校の校長とは連絡が取れており、コロナ禍での子どもや教師や学校の状況について意見交換を行うことができた。また、カナダに関する文献の収集と分析を進めることができたが、その他の論文や資料の収集や、学会発表も計画通りには実施できなかった。そのため、やや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、以下のように研究を進める。 1.教育政策・制度・ガバナンス構造の解明:米国については、バイデン政権における教育政策の分析を行うこととあわせて、学校改善に関する文献の収集と分析を行う。カナダについては、令和2年度の検討をもとに継続的な検討を行う。両国とも、論文・著書および州教育局の資料を収集し、分析を継続する。 2.実地調査:令和3年度も海外調査を実施できるかどうかは現段階では不明であるが、年度末の海外調査と、年間を通じた日本国内の学校調査の実施に向けて、再調整を行う。特に、カナダ・アルバータ州の学校改革の支援を行っている研究者への調査を進める予定であるが、実地調査ができない場合は、オンラインやメール等を通して調査を実施予定である。 3.研究成果の発表:現在の米国の学校改善の状況に関する文献調査の結果について、国内の学会で発表する予定である。また、オンラインで開催される国際学会へ参加し、ウィズ・コロナ時代の公正で質の高い教育を実現する方策についての国際的な動向と知見を深める予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度末に海外調査を実施する予定であったが、コロナウイルス感染症の拡大のため、調査を中止せざるを得なかった。また、学会がオンライン開催になったことや日本での学校訪問調査ができなかったことで、出張旅費を使用できなかった。令和3年度にも、海外調査および国内の学校調査は計画するが、実施可能かどうかを早期に判断し、実施できない場合には、予定していた調査研究や出張旅費の予算を文献の収集や研究会の実施などに使用する。また、オンラインで開催される国際学会や国内学会への参加と報告を計画しているため、その参加費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)