2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K02602
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小原 一馬 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (20396617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 美輝 龍谷大学, 文学部, 教授 (80547753)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スクールカースト / クリーク / 人気 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、スクールカーストと呼ばれる小中高校のクラス内で見られる、人気に基づくグループ間の階層構造が、どのように生成・存続し、それがどのような影響を及ぼし、どのような対策をとるべきかに関する理論的な考察を行い、関連する先行研究をまとめ、今後の調査のための仮説設定を行った。 より具体的には、スクールカーストという概念の定義およびクリークなどの類似概念との比較からはじめ、その定義に基づき、スクールカーストという特別なクラス内の構造が、どのように日本において歴史的に発生したのか、その必要条件を3つ(「半閉鎖的なグループ」「人気に基づく自己準拠的な、グループの上下関係」「逃れられない共同生活」)を挙げた。前二つの条件は、日本の場合、主に「価値観の多様化」と「大人からの干渉の減少」によって生じたという仮説を示し、アメリカにおけるスクールカースト様の現象の歴史的経緯との比較を行った。またスクールカーストの上位層がなぜ攻撃的にふるまいがちなのか、彼らが必ずしも好かれていないにも関わらず、人気があると思われているのはなぜか、仮説を提示した。そしてこれらの仮説を通じ、スクールカーストへの対処の方策を提示した。 この内容については、2021年3月 小原一馬「スクールカーストはなぜ生まれ、それは『悪い』ものになってしまうのか――スクールカースト生成の歴史的要因と上位者の攻撃性が高まる要因の考察」宇都宮大学共同教育学部研究紀要第71号 :149-169 にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、スクールカーストに関する理論的な側面についてまとめ、先行研究をまとめることができた。また今後の調査の設計も行うことができた。しかし、新型コロナに対する中高等学校や大学の感染防止対策などによって、学生に対する質的な調査は進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの感染状況に応じて対策をとる必要があるが、宇都宮大学においては対面授業が再開しているので、そちらでの調査は可能となった。またマクロミル社におけるモニター調査は予定通り行える状況である。
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Causes of Carryover |
2020年度に行う予定だった質的調査を進めることができなかったこと、コロナ感染防止のため研究の打ち合わせのために直接会って話すことができなかったことなどによる。大学での対面授業が再開され、また今後はワクチン接種などが進めば、予定通りの調査を一年遅れで進めることができる予定。
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Research Products
(1 results)