2024 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待予防にヤングケアラーを視座に入れた教育・地域連携協働システムの構築
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20K02702
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| Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
辻 京子 四国大学, 看護学部, 教授 (60611944)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 加代子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (50213377)
西岡 かおり 四国大学, 生活科学部, 教授 (60441581)
中岡 泰子 四国大学, 生活科学部, 教授 (80248319)
芳我 ちより 香川大学, 医学部, 教授 (30432157)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 児童虐待 / ヤングケアラー / 小学校 / 養護教諭 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童虐待の予防にヤングケアラーの視点を取り入れ、学校と地域が連携する支援体制の構築を目指したものである。中国四国地域の公立小学校に勤務する養護教諭を対象に調査を行い、ヤングケアラーに対する認識や支援体制の現状を明らかにした。 調査の結果、2022年時点でヤングケアラーを意識して対応していると回答した養護教諭は全体の約4割にとどまっていた。また、スクール・ソーシャル・ワーカーやスクール・カウンセラーの配置は「月に数回」や「要請時のみ」が多く、校内の支援体制は十分とは言えなかった。担任と養護教諭が「気になる児童」として情報共有している観察ポイントには、欠席・遅刻、情緒不安定、身だしなみの乱れ、忘れ物の多さなどがあり、これらの兆候を通じてヤングケアラーの可能性が探られていた。しかし、子ども自身が家庭の状況を「当たり前」と感じているため、困り感を抱きにくく、学校が支援につなげる難しさも指摘された。 インタビューでは、養護教諭が日常の健康相談を通じて子どもの背景を丁寧に把握し、必要に応じて校内外の支援につなぐ実践が明らかとなった。養護教諭は、児童虐待防止の実践として、児童の情報収集、自尊感情を育む教育的支援、地域や関係機関との連携など、多面的な役割を担っていた。 さらに、当事者の声を生かす実践として、親の介護を担っている高校生とその保護者を交えた研修会や事例検討会を実施した。これにより、学校や地域の支援者の理解が深まり、支援の方向性が共有された。学会では「ヤングケアラーの批判的検討」や「構築される子育て標準家族」などのテーマで発表し、概念の再検討とリスク社会における支援の在り方を問い直した。 本研究では、養護教諭がヤングケアラー支援と児童虐待予防において重要な役割を果たすことを示しており、今後の支援体制強化と専門性向上の必要性が示唆された。
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