2023 Fiscal Year Annual Research Report
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20K02771
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
関 朋昭 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (20321367)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 部活動 / 過熱化 / 矛盾の構造 / 教育課程外 / 自主性 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究は、運動部活動が過熱化させてしまう一つの要因として考えられてきた保健体育教師について検討した。具体的には、保健体育教師の職業的社会化を整理し、「幼児期」「少年期」「青年期(後期)」「壮年期」「老年期」ごとに考察した。その結果、保健体育教師が運動部活動と向き合っていくためには「同僚性」という視点が重要な意味をもつことが導出された。この成果は、保健体育教師は刻下の運動部改革とどのように向き合っていけばよいのか、この問いへ示唆を与えるものである。 研究期間全体を通じた研究成果としては、部活動が過熱化する根源的なプロセスにおいて、部活動が抱えるそもそもの矛盾の構造を明らかにした。以下はその議論の要約である。部活動は「教育課程外」という認識が重要であり、「自主性」が保障されていなければならない。しかしながら、生徒たちが自主的に活動できる時間帯は限られており、それは「教育課程外」の時間帯だけである。部活動の活動時間に関しては、生徒が「自主的」に決められるはずであるが、生徒たちだけでは決めることができない。ここに部活動の矛盾の構造がある。次に、そもそも学校は「教育課程」を学ぶ場である。にもかかわらず、「教育課程」よりも「教育課程外」を最重視する教員や生徒が存在する。これは論理的に間違っている。これまでの先行研究が指摘してきたことに、部活動の教育効果が高いというものがある。「教育課程」では学べない社会性や人間性が備わるという理由であるが、「教育課程外」での活動時間が長ければ、良くも悪くも教育効果が得られるのは当然である。 総括として、学校の部活動が抱える矛盾の構造は以下である。矛盾1:部活動は生徒の「自主的」な活動には成り得ない構造である。矛盾2:学校は「教育課程」を学ぶ場であるにもかかわらず、「教育課程外」を最重視する雰囲気がある。
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