2020 Fiscal Year Research-status Report
国語科の視点を取り入れた新科目「公共」で活用可能な模擬裁判メソッドの研究開発
Project/Area Number |
20K02809
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
札埜 和男 岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (90596107)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 模擬裁判 / 国語科 / 公共 / 文学模擬裁判 / オンライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実施1年目の研究成果は、次の5点にまとめられる(令和2年度の重点目標は「先行実践の分析と3種類のメソッドモデルの試作」であった)。 1)国語科の視点を取り入れた「公共」での模擬裁判融合メソッドモデル(シナリオ)として「シナリオを改良する型(シナリオ改良型)」「シナリオ通り演じる型(シナリオ演出型)」「文学作品を基にしたシナリオ型(文学模擬裁判)」の3つの型がそれぞれできあがり、計5種類のシナリオを作成した(『高瀬舟』文学模擬裁判2種類【シナリオ改良型】【シナリオ創出型】、『猿の嫁』昔話模擬裁判、『安楽死殺人事件』模擬裁判、『書店窃盗事件』模擬裁判)。2)弁護士会等の協力を得ながら『高瀬舟』文学模擬裁判【シナリオ改良型】は兵庫県の私立高校「探究」の授業および宮城県のインターナショナルスクール「日本語」の授業、『猿の嫁』昔話裁判(シナリオ演出型)は関西の国立大学の教職実践演習(中・高)の授業、『書店窃盗事件』模擬裁判(シナリオ改良型)は岡山県と京都府の「探究」「社会科」の授業で、『安楽死殺人事件』模擬裁判(シナリオ改良型)は岡山県の医療専門学校の「論理的思考」の授業でそれぞれ実施、検証できた。また研究室主催で全国から高等学校10校を募り、第1回オンライン高校生模擬裁判選手権を開催し、そこでは『高瀬舟』文学模擬裁判(シナリオ創作型)を実施、検証できた。 3)コロナ禍という未曽有の出来事でも対応可能なオンラインによる模擬裁判の授業方法を開発。実践できた。4)『高瀬舟』文学模擬裁判の英語訳ができた。5)研究者が実施する模擬裁判に関わった生徒や指導教員、法曹関係者へのインタビューやアンケートを実施・分析し、とりわけコロナ禍の中で新たに創出したオンライン模擬裁判の成果を査読論文(『法と教育』)や成果報告書(日弘教)としてまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模擬裁判シナリオの教材開発やメソッドモデルの試作、実践的検証がバラエティに富んだ学校機関で実施でき、順調に進んでいる。またシナリオの英語訳も完成するなど、当初の計画では考えていなかった成果が生まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度にできなかったインタビューについては、オンラインによるインタビューに切り替えて実施していく。令和3年度の重点目標は「模擬裁判メソッドの現場検証と改善」である。令和2年度の試行の分析結果をもとにして、法曹不在でも教員単独で可能な模擬裁判メソッドを作るために、法曹が関与する事項をピックアップしそれらををまとめた手引書を作る。試行については第2回オンライン高校生模擬裁判選手権を開催し、新たに作成するシナリオを使って検証する。また協力校での試行・検証については、コロナ禍の状況を見ながら場合によってはオンラインで実施する。モデル授業については、岡山県2校、大阪府1校、東京都1校、宮城県1校、北海道3校と協力校が得られたので、随時改善したシナリオを使って実践、検証していく。また分析結果を報告書や論文にまとめて発表していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた旅費やインタビューが実施できなくなり、旅費や謝金の用途がなかったことが大きい。今年はコロナ禍の状況を見据えながら出張を計画し、現地での調査研究を実施していく。インタビューについては謝金を活用してZOOMによるインタビューを実施していく。参考図書、参考文献の購入費用や報告書の冊子作成、その郵送費に当てる。
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Research Products
(3 results)