2023 Fiscal Year Research-status Report
国語科の視点を取り入れた新科目「公共」で活用可能な模擬裁判メソッドの研究開発
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20K02809
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
札埜 和男 龍谷大学, 文学部, 准教授 (90596107)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 文学模擬裁判 / 公民科 / 公共 / 社会と人間 / 国語科 / 教科横断 / 人間への眼差し |
Outline of Annual Research Achievements |
①札埜・小泉(2023年9月)「『こころ』で文学模擬裁判をやってみたーその成果・意義・課題―」京都教育大学『国文学会誌』第50号にて文学模擬裁判メソッドを示し、札埜(2023年8月)「文学模擬裁判の実践よりー方法と理念および可能性」法と教育学会編『法と教育』vol.13 (共に令和4年度報告済)で実践方法、教材作成過程、理念、成果、「公共」での有効性等を纏めた。「公共」での文学模擬裁判の実践と成果は札埜(2024年3月)「『公共』における文学模擬裁判の実践的研究―その成果・意義・課題―」龍谷大学『龍谷紀要』第45巻第2号に詳しく、法と教育学会第14回学術大会で「『公共』で文学模擬裁判、1 年生の全 8 クラスでやってみた ─成果・課題・展望」と題しポスター発表を行った。第144回全国大学国語教育学会島根大会(2023年5月)の報告内容は札埜(2023年5月)「高校生(オンライン)『文学』模擬裁判選手権の取組―ことばを通して人間を考える、『イベント』としての国語教育―」『国語科教育研究:大会研究発表要旨集』144号(令和4年度報告済)に纏めた。②「法言語教育」の章を橋内武他編『法と言語改訂版』(くろしお出版2024年2月)に纏めた。③大阪大学「教職実践演習」で「羅生門」文学模擬裁判、雲雀丘学園中高校「探究」で「高瀬舟」模擬裁判を実施しメソッドの精度を高めた。④岡山操山高校通信制課程「公共」模擬裁判では裁判官担当者、龍谷大学政策学部「キャリアコミュニケーション」模擬裁判では授業担当者、岡山県高等学校教育研究会地歴公民部会研究協議会では講演者として成果を還元した。⑤文学模擬裁判全国大会を年3回実施し、2つの教材を作成し新たなデータを得た。⑥研究成果から冤罪リテラシーの実践的研究、18歳裁判員時代に対応した文学模擬裁判研究、国際共修型文学模擬裁判研究という新たな研究テーマが生れた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画のところ、コロナの影響で実地でのフィールドワークや実践、手引書作成が当初の計画より遅れ気味であったところ、1年の延長が認められることにより、その遅れを取り戻すことができ、フィールドワークや実践を重ねることでメソッドとして確立され、論文や研究会等で社会に還元することができてきたから。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の報告書には次のように記述した。「国語科だけでなく公民科『公共』で実践でき、教育効果も明らかになってきたので、実践をさらに積み重ね、公共で文学模擬裁判を行うメソッドを確立し、それを書籍化して全国に普及していくことが今後の推進方策である。具体的には3種類のメソッドのうち、踏襲型と改変型は書籍化し、創作型は報告書として纏めていく。またモデル授業を積極的に実施していく」。メソッドはほぼ確立できたが、目指す「どの学力層でもどこでも誰でも」できる実践研究のうち「どの学力層」という点においては、まだメソッドとして精度をあげて向上させる必要があるので、その点において傾注していく。一方今年度は書籍化して全国への普及を図る。踏襲型や改変型については文学模擬裁判の作り方として、教員や生徒向けに、創作型については一般向けの幅広い層を対象として書籍化を計画している。また今後次の3点を念頭に置いて研究を進めていく。第一は研究成果を冤罪リテラシー教育に繋げて発展させていくことである。第二は18歳の司法参加に必要な法教育を開発する視点から文学模擬裁判の活用法を研究していくことである。第三は国際共修型の文学模擬裁判の研究である。他4名の分野の異なる研究者たちと日本語や外国語、コミュニケーション研究の視点から、より汎用性のある教育メソッドになることを目指していく。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりコロナの影響で遅れが生じ、研究期間の再延長が認められたので(2025年3月まで)、再延長期間の調査研究費用として残したため(出張旅費や図書の出版・印刷等の必要な費用に充てる予定である)。
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