2020 Fiscal Year Research-status Report
五線譜に代わる選択肢「フィギャーノート」の音楽科への導入可能性に関する研究
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20K02865
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
阪井 恵 明星大学, 教育学部, 教授 (00308082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 美恵子 国立音楽大学, 音楽学部, 教授 (10407075)
布施 光代 明星大学, 教育学部, 教授 (10454331)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学びのユニバーサルデザイン / 五線譜 / フィギャーノート / ディスレクシア |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、研究代表者の阪井(明星大学)と研究分担者・酒井美恵子(国立音楽大学)が、研究協力者(NPO法人発達サポートネットパオパブの樹、及び一般社団法人フィギャーノート普及会のスタッフ)の協力を得て、上記「バオバブの樹」に来ているディスレクシアのある青少年から、学校生活や学習全般における困難と、特に音楽の授業と読譜に関わる困難について聞き取り、その実態を明らかにした。 2021年度以降、この実態を学校教育関係者に広く知ってもらったうえで、五線譜に代わる選択肢「フィギャーノート」の導入可能性を模索する計画である。そのために、業者を選定し10か月をかけて「フィギャーノートの可能性―ディスレクシアを通して考える学びの多様性」と題する30分弱の動画を制作した。動画には、当事者が生の声で「学びの多様性を認めることの必要性」を語り、フィギャーノートを使用して合奏を楽しむ姿を収録することができた。目的を十分に達成する動画が完成したことは大きな成果である。 日本音楽教育学会における口頭発表「ユニバーサルデザインの視点で考える音楽科の目標」は、ディスレクシアをはじめとする見えにくい障害に配慮した目標の立て方を、「学びのユニバ―サルデザイン(UDL)」の理論に立脚して考察したものである。 以下の2つの招待講演では、ディスレクシアの実態とフィギャーノートを広く紹介することができた。(1.マレーシア工科大学主催の国際交流音楽教育シリーズでの講演 ‘Music in Elementary Schools in Japan’ オンライン 2.国立音楽大学教職課程特別講義 「ユニバーサルデザインの視点で考える音楽教育・音楽科教育」 オンライン)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナパンデミックの影響を被り、首都圏は移動・行動に制約の多い1年であったため、当初計画で設定した時期目標より、やや遅れた。しかし研究の内容としては当初計画以上の成果が得られ、経過はきわめて順調である。 2021年度以降に動画の視聴とセットで実施する予定の質問紙調査について、質問項目の作成完了までを目指していたが、これに関しては4月末現在まだ作業中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、現職の教員や教員養成課程の学生などに完成した動画を視聴してもらい、「学びのユニバーサルデザイン」「ディスレクシア」「フィギャーノート」への理解を促す。併せて、「フィギャーノート」を学校教育に取り入れる可能性について、意見や障壁となる事柄を問う質問紙調査を実施する計画である。質問紙の作成は、阪井恵(研究代表者)、布施光代(研究分担者 明星大学)酒井美恵子(研究分担者 国立音楽大学)の3名で取り組んでいる。集計後の解析は、布施を中心に進める予定である。 科研費の申請書作成の段階で、教員養成課程をもつ全国の大学の幾つかに協力を得る打診を行っており、質問紙には1000名相当の回答を得られる予定であった。基本的には、研究代表者・分担者が出向く予定を立てていたが、コロナ禍のもと移動に制限のある状況が続いている。リモートでの実施を検討中であるが、協力を承諾していた大学にも、一部は事情に変化が生じているので、どれだけの質問紙回答を集められるかは未定である。 質問紙調査が予定より遅れる可能性が高いので、2022年度に入ってから実施する予定にしていた、フィギャーノートでの学習を盛り込んだ音楽科の年間指導計画の立案を、並行して実施する予定である。小学校教科書に続き中学校教科書も新版に変ったタイミングであるので、具体的な作業がしやすいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度は全ての学会(国際・国内)が中止またはオンラインに変更されたため、旅費の支出が皆無であったことが、次年度使用額発生の理由である。 2021年度は対面の学会が予定されているほか、研究遂行のため他地域の大学等にも出張のすることを見込んでいる。
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Research Products
(3 results)