2022 Fiscal Year Research-status Report
大学アカデミック・ライティングによる大学生および大学院生の書き手としての成長
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20K02949
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐渡島 紗織 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (20350423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 宏治 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (00765167)
嶼田 大海 青山学院大学, アカデミックライティングセンター, 助教 (10780140) [Withdrawn]
渡 寛法 日本大学, 文理学部, 准教授 (20732960)
宇都 伸之 松本大学, 総合経営学部, 講師 (30755963)
坂本 麻裕子 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授 (40648317)
千 仙永 東京大学, グローバルキャンパス推進本部, 助教 (90780172)
後藤 大輔 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助手 (90835399)
田部井 滉平 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助手 (00843947)
平松 友紀 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助手 (60880333)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学院生の文章作成 / ライティング・プロセス / ライティングにおける留意点 / フィードバック / 文章作成の好き嫌い / 文章作成の得手・不得手 / 体系的ライティング指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度2021年度には、「大学院生の、書き手としての成長」を調査するため、大学院生に対し、量的と質的なデータを収集した。量的データとしては、34名に対してアンケートを行い、学習動機や文章作成に対する意識などを聞いた。質的データとしては、春の授業受講者21名、秋の授業受講者12名、合計33名に対して、各二回(ライティング授業受講前と後)のインタビューを行った。インタビューでは、文章を書くことが好きか嫌いか、アカデミックな文章を書くことは得意か不得手か、また持参してもらった文章を、どんな手順で書いたか、留意した点は何か、「文章」とはどのようなものだと思うか、を尋ねた。 2022年度は、「学部生の、書き手としての成長」を調査するため、学部生一年生20名に対し、同様の項目でアンケートを行い、また同様の質問でインタビューを行った。 これらのデータの中で、まずは大学院生が「どのように学術的な文章を書いているか。」の実態を明らかにするため、大学院生からのデータを分析した(変化については未分析)。大学院生は、学術的文章の種類に応じたプロセスを踏んで文章を書いていた。また論文や研究計画書は、他者からのフィードバックを積極的に受けて書き直しをしていた。レポートだけは他者の眼を通していなかった。大学院生が、学位論文や投稿論文の執筆に重きを置いた文章活動をしている様子が捉えられた。大学院生が文章作成で留意している点は、観点別に多い順で内容の示し方、内容の価値、文の作り方、語句の使い方、引用と参考文献の示し方、全体構成であった。段落については言及がほとんどなかった。一方、インタビューをとおして、大学院生が個々の場面でどう書いたらよいか迷った際に判断をする方略を持ち合わておらず困っていることも明らかとなった。大学院においても、体系的なアカデミック・ライティング指導が求められていると結論づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年時の2020年度は、コロナ禍で授業がオンラインとなり、オンライン受講者を調査対象者にすることを避けるためにデータ収集の時期を遅らせた。そのために当初の計画より1年ほど全体の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
「大学院生の、書き手としての成長」については、卒業した対象者やこれから卒業する対象者が出るため、学術的な環境でない就職先でどのような文章をどのように書いているかを調査することができる。そこで、引き続き大学院生からデータを収集する。 そして、これらのデータを、文章作成技術という観点から、また文種(genre)という枠組みから、また「転用」理論を通して、分析する。対象者自身の意識あるいは文章において、変化が見られるか、それらの変化は成長と捉えることができるのか、を考察する。 「学部生の、書き手としての成長」については、大学院生と同様、引き続きデータを収集する。そして昨年度との比較を行う。これらのデータも、文種に関する理論枠組みや「転用」理論を通して成長を考察する。 「大学院生の、書き手としての成長とはどのようなものか。」、「学部生の、書き手としての成長はどのようなものか。」の分析結果を論文に表し、発表していきたい。
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Causes of Carryover |
初年時2020年度が、コロナ禍でオンライン授業となったため、オンライン授業という特異な環境でのデータに汎用性がないと考え、データ収集を遅らせた。そのために2021年度と2022年度に順次データ収集の時期がずれ込んだ。 2023年度にデータ収集をすべて終え、データの分析に入る。
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Research Products
(3 results)