2020 Fiscal Year Research-status Report
A Reorientation of the Post-1968 University Reform in Higher Education Studies
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20K02960
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
光本 滋 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10333585)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大学改革 / 学生参加 / 教育要求 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)国立大学の改革文書の収集と整理に努めた。国立大学協会事務局の協力を得て収集した大学問題に関する研究部会審議資料(大阪大・広島大等)ほか関連資料の整理を行った。 (2)1968年前後に政府において検討されていた高等教育政策(中教審1971年答申として結実)について、中枢にいた文部官僚(西田亀久男・天城勲)の回顧録等、同時代の批判(OECD調査団、大学関係者)等とつきあわせながら論理を分析し、今後の研究課題を検討した。これらにもとづき学会において研究発表を行った。 COVID-19パンデミックは以上に関して困難をもたすものであった。特に各地の大学を訪問することはまったくできず、資料収集に大きな支障を来たした。その一方で、 (3)COVID-19パンデミックは、学生が周縁化されていることを浮き彫りにした。すなわち、学生はオンライン授業や課外活動の禁止によりキャンパスから閉め出されたのみならず、その決定プロセスからも排除されていた。また、経済的困窮およびキャンパスを利用できないことなどを利用に全国で学生の学費減額運動が展開されたものの、学費減額に応じた大学は皆無であった。また、学費負担に関する大学側の見解は説得的なものとは言えなかった。これらの状況は、学生が依然として施設の利用者の地位にとどめられ、教育に関する権利を行使する者として扱われていないことを示している。 (4)同時に、学生の運動は学生自身の教育要求の明確化に寄与するものであった。また、学生団体の交渉権の有無が大学の組織運営を適切におこなっていく上で重要であることを示唆する事案が各地の大学に発生した。これら2021年の動向に関して情報収集と整理を行い、今後の課題を検討した。これらの成果は、雑誌論文、著書等において発表する予定であるが、いずれも刊行は2021年度となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、各地の大学を訪問して1968年前後の時期の資料の収集・整理を行う予定であったが、COVID-19パンデミックの影響により実施できなかった。 しかしながら、2020年の大学の事態、COVID-19パンデミックの影響に関する情報収集・分析を行ったことにより、学生団体の存在や大学における組織運営への参加、それらを通じて教育要求を明確にしていくことの重要性、および今日的課題が示唆された。 これらにより、2020年度の進捗状況は「やや遅れている」とすることが適切であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2020年の大学に起きた問題を検討する中で、学生が福利厚生施設の管理を行うことの重要性を認識した。特に学生寮は、教育の場としての役割を果たしているとともに、学生の団体自治の基盤を形成するという点でも、日本の大学において重要な存在であるとの評価が可能であるように思われる。ところが、かつては学生による横断的な組織(全国学生寮自治会連合等)が存在したにもかかわらず、関連資料はほとんど公にされていない。各地の同窓会事務局が所有する資料の確認等、基礎的な作業を進めていく必要がある。これらに関しては、関連分野の研究を行っている大学院生を研究補助者としてとりくんでいく予定である。 (2)(1)を行いながら、1968年前後の資料を重点的に収集し、関係者からの聴き取り等を行う対象大学についての検討、絞り込みを進めていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックの影響により、資料調査を行うことができなかった。このことにより、予定していた出張費の支出がなかった。 COVID-19パンデミックの影響により、研究補助者の確保ができなかった。このことにより、予定していた謝金の支出がなかった。 2021年度使用計画:①大学における福利厚生施設の管理に関する資料収集(東京、京都)、②大学の組織運営と大学改革の関連に関する研究会の開催(10月、札幌)、③資料整理のための研究補助者の確保(1000円×200時間)。
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Research Products
(3 results)