2020 Fiscal Year Research-status Report
Astronomy education with the Mitaka system in science classes of elementary and junior high schools
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20K03276
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松村 雅文 香川大学, 教育学部, 教授 (50239084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 恒彦 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 特任専門員 (90413955)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 天文教育 / Mitaka / 銀河系学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国立天文台4D2Uプロジェクトで開発されてきている宇宙ビュアーMitakaに代表される新しいソフトウェア、及び学校現場で整備されつつあるICT機器(例えばタブレット)等のハードウェアを用いて、小学校・中学校で天文学習をより効果的に行えるよう学習内容の構成を含めた天文教育手法を開発すること、及びこれらの機器を有効に利用して、学習の深化をはかることを目的としている。2020年度は以下のことを行った。 (1) Mitakaを使った研究授業の解析:香川県内2中学校の3年理科授業(2018年及び2019年実施)で、シミュレーションシステムMitakaを用いた銀河系学習でのアンケート結果を解析した(松村と中, 2020; Matsumura, Mori,& Washibe, 2021)。これらの解析では、Mitakaを用いることで,子どもたちの宇宙への興味は増すことを示した。アンケートの記述に、季節による天の川の見え方の違いは,銀河系中心と地球との距離によるという勘違いが見られた。この勘違いは、今までには知られていない。このような勘違いを克服する方法を開発することが、今後の銀河系学習についての一つ目標となりうることを示した(松村と中, 2020)。 (2) Mitaka を用いた天文学習の深化:Mitaka の最新バージョン(1.6.0b)では、恒星のデータに Gaia DR2 が使われているため、天の川の描写が格段に精細になり、容易に天の川の中に暗黒星雲を確認できるようになった。これは、恒星のみならず、ガスと塵も宇宙に存在することが学習でき、星形成や太陽系の誕生についても学べることを示唆する。この内容を中学校理科の授業でどのように展開するかは検討中である。関連して、宇宙の塵からの熱放射と磁場についての研究を行った(Matsumura,et al. 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) Mitakaを用いた銀河系についての研究授業で得られたアンケート結果の解析は完了した。一方、Mitakaやその他のICT機器等を用いた、新たな研究授業を行うことを模索したが、コロナ禍のため2020年度は実施できなかった。 (2) Mitaka を用いた天文学習の深化に関して、中学校理科の授業でどのように展開するかは検討中であり、具体化はできていない。しかし、この内容に関連して、宇宙の塵からの熱放射と磁場についての研究を行い、いっかくじゅう座R2領域における筋状に見える星間雲(フィラメント)と星間磁場や星形成との関連の研究を行った(Matsumura,et al. 2021)。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) MitakaやICT機器等を用いた天文学習:銀河系の学習以外にも、MitakaやICT機器等を効果的に用いる天文学習について研究する。コロナ禍の状況によるが、可能であるならば、Mitaka等を用いた研究授業を行い、授業でMitaka等を用いる効果を検証する。研究授業が難しい場合、Mitakaのスクリプト使用や、色々なICT機器等の併用による天文学習について、より深く可能性を追求する。 (2) Mitaka を用いた天文学習の深化:Mitaka の最新バージョン(1.6.0b)で見える、暗黒星雲を内容的に理科の他の単元と関連付けるのかを考察する。この内容に関連して、高質量星形成領域の一つである、いっかくじゅう座R2分子雲の研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、想定していた小学校または中学校での研究授業ができなかったため、当初の予定よりも使用額が少なくなった。次年度は、研究授業を想定し、そのための機器の整備に助成金を用いる。
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Research Products
(9 results)