2023 Fiscal Year Annual Research Report
Resilient disaster management to promote evacuation behavior
Project/Area Number |
20K03321
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
元吉 忠寛 関西大学, 社会安全学部, 教授 (70362217)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 避難行動 / 災害自己効力感 / 防災教育 / レジリエンス / シナリオ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害の発生が予測される状況で避難指示などの情報が出されても、住民が適切な避難行動を行っていないことは繰り返し指摘されている。本研究では、災害のリスクではなく、対策行動のポジティブな側面に着目することによって避難行動を促進する方策を見つけ出すことを目的としている。 今年度は、これまでに実施した災害時の避難行動に関する調査結果を日本社会心理学会および日本心理学会で発表した。災害時に出される情報が正しく人々に理解されていないこと、避難行動に関する認識には行政と住民との間にギャップがあることなどを報告した。また、事前の防災対策行動とリスク認知や不安の関連、災害自己効力感と防災に対する人々の認知の関連についての研究発表を日本リスク学会で行った。災害自己効力感の高い人は、地震に対する不安が低く、防災対策のベネフィット認知を高く評価し、コスト認知が低かった。また災害への関心も高く、実際に防災対策をしていることも明らかになった。このため、災害自己効力感を高める防災力向上アプローチは有効である可能性を示すことができた。 さらに、ホテルと地域が災害時の協定を結んでいる事例を収集し、具体的にどのような協定を結んでいるのかを調査した。しかし、災害時の協定に関する具体的な内容について取り決めをしている事例はほとんど見つからず、ホテル避難についてはなかなか進んでいないという状況が明らかになった。 ポジティブな側面を強調して避難行動を促進するという本研究の目標には有効性が確認された部分もあるものの、困難が伴う場合もあり、異なるアプローチを組み合わせることによって、避難行動を促進する必要があることが示唆された。
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