2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03336
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤木 大介 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60403599)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文章産出 / 言語産出 |
Outline of Annual Research Achievements |
文章産出に関する研究では,実験参加者にどのような文章を産出させるかを統制することが困難であり,従来は作文過程を現象記述的に捉えたモデルが案出され,検討の対象とされてきた。しかしこのモデルでは文章の一文一文がどのように産出されるかは説明できず,どうすればどのような文章を産出できるかという方略の指導にもつながらない。一方,研究代表者は「どうやって文章を産出しているか」を予測できるモデルを提唱し,その一部をすでに実証している。これを踏まえ,本研究では当モデルの妥当性のさらなる検討に加え,書き手の知識の多寡や発達段階の違いからその文章産出の仕方を予測できるレベルまでモデルの精度を高めることを目指している。 この目的に沿い,令和2年度は,文の産出プロセスを検討する予定であった。具体的には,成人が文章を書く際,一文一文をどのようにして出力しているのかを文の出力に要する時間を計測し,新規なトピックについて綴る連想文の出力には時間を要することを示そうと考えていた。そのために,文章産出に関する文献的な検討を行った。 令和2年度の成果としては,言語の産出に関するテーマで受賞1件,これに伴う招待講演1件,これに加えて自主シンポジウムでの話題提供1件を行った。これらの成果は,日本語を対象とした句や文の産出メカニズムを検討する上で,課題の整理と,実証データの蓄積という点で意義があるものと考えられる。 今後は,新型コロナウィルスの感染拡大に伴い人を対象とした実験を行うことが困難となったため延期しているデータ取得,またそのための準備として実験室に簡易な防音設備を設置する等,実験環境の整備を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,人を対象とする実験の実施が困難となり,データの取得等が計画通りに行えなかった。また,コロナ禍への対応のため,本務校における授業のオンライン化,教育実習の急な計画変更等,予期せぬ業務の急増のため,十分な研究活動ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
期間の前半(令和2,3年度)に実施予定としている成人を対象とした文章産出メカニズムに関する研究に関しては,今後成果を報告する予定である。 期間の後半(令和4,5年度)に実施予定である児童生徒を対象とした文章産出メカニズムに関する研究に関しては,実験実施の協力者の選定が終わり,データの取得に向け準備を進めている。
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Causes of Carryover |
令和2年度に使用予定であった額が繰り越された主たる理由は,コロナ禍による学会出張の取りやめや,実験実施の断念に伴う支出減である。 これに伴い令和3年度は,改めての実験実施に向け,先送りにした実験室の整備を行うとともに,新型コロナウィルスの感染状況が収束に向かった場合,研究補助者を雇用しつつ,実験を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)