2020 Fiscal Year Research-status Report
授業場面における教師によるメタ認知支援に関する研究
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20K03369
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岡田 涼 香川大学, 教育学部, 准教授 (70581817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メタ認知 / 授業における指導 / 動機づけ / 小学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,日常の授業場面において児童・生徒のメタ認知を促す指導の原理を明らかにすることを目的としている。そのために,これまでのメタ認知に関する実証研究の知見を整理し,児童・生徒を対象にメタ認知的活動に対する影響を検討することを試みる。今年度は,メタ認知に関する実証研究について,メタ分析を含めて包括的にレビューを行った。実験研究,調査研究,観察研究の知見について,メタ認知を支えるための視点を提供し得る研究を幅広く収集した。収集された知見を7つのポイントとして整理し,授業場面において学習者のメタ認知を支えるための指導のガイドラインを作成した。その内容については,現在学術論文としてまとめており,2021年度に投稿予定である。 また,小学生におけるメタ認知的活動およびメタ認知的方略について,その影響要因に関する調査を行った。複数時点からなる縦断データを用いて因果関係を想定した分析を行った。その結果,授業場面における内発的動機づけが,中長期的にメタ認知に影響することが明らかになった。この知見については,学術論文および学会発表として公表している。 学習者のメタ認知を支える要因について,補足的に大学生を対象とした調査を行った。オンライン授業において,授業中のメタ認知的活動と教員からの指導についてデータを収集した。その結果,オンライン学習環境において,教員の自律性支援的な指導がメタ認知的方略に影響することが明らかにされた。この知見について,学会発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,4つの研究を行うことを予定していた。流れとして,最初に包括的な研究レビューを行い,そこで整理された知見をもとに調査および観察を行うことを想定している。今年度は,研究のスタートとなる包括的な研究レビューを行い,先行研究の知見を新たな視点で整理することができた。また,小学生のメタ認知に対する影響要因を明らかにすることも本研究の目的となっている。今年度は,研究開始以前から蓄積されていたデータと今年度に収集したデータを用いて,小学生のメタ認知的方略およびメタ認知的に対する動機づけ要因の影響を明らかにした。この結果は,2021年度以降の調査の基礎的な知見となるものである。さらに,研究期間3年間にわたって収集する予定の授業観察データについても,収集を開始している。2020年度は新型コロナ感染症の流行もあり,学校現場での研究活動が行いにくい状況であったが,当初の計画から大きく外れることなく遂行できた。そのため,現時点において「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は昨年度の成果を踏まえて,メタ認知の支援に関する質問紙を作成し,その妥当性と信頼性を検討する。昨年度の研究レビューから,メタ認知を支える要因についての整理を行うことができた。本研究では,その知見をもとに教師側からみた場合の支援方略として,メタ認知支援の有効性についての調査を行うことを予定していた。今年度はレビューの結果として整理されたメタ認知支援の内容について,その有効性を評定する自己報告式の尺度を作成する。予備調査の位置づけで,教員養成課程の学生に対して調査を行い,妥当性と因子構造の検討を行う。その後,現職教員に対して調査を行い,尺度の構成を行う。 並行して,授業場面におけるメタ認知支援を明らかにするための観察研究のデータを収集する。昨年度においても,授業観察を行い,メタ認知支援の行動指標としてのデータを収集した。2021年度も引き続いて,複数の授業を観察し,分析に耐え得る数の観察データの収集に努める。
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Causes of Carryover |
2020年度において,旅費200,000円を当初の予算として計上していた。しかし,COVID-19の流行によって,予定していた学会の多くは中止,もしくはオンライン開催になった。また,他の研究打ち合わせ等もすべてオンラインで行うかたちに切り替えた。そのため,旅費の使用が0円となり,その分で計画と異なっている。さらに,データ処理のためのバイト謝金についても,感染症対策として,人数や時間数を制限した部分もある。さらに,授業観察等も予定よりは少なくなり,テープ起こしの費用も発生しなかった。これらの点も予算と使用額が異なった理由である。 2021年度においてもCOVID-19の状況を見通すことは難しいが,予定していた出張については予算として使用する予定である。また,授業場面での観察は昨年度の分を加えて行い,そのテープ起こしの経費として使用する。また,調査においても,感染予防に気をつけながら,データ入力のバイト作業を依頼し,その謝金として使用する。テープ起こしおよびデータ入力の作業については,昨年度分を併せて今年度行い,当初の研究期間内での予算を執行する予定である。
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Research Products
(3 results)