2021 Fiscal Year Research-status Report
The training and clinical effects of the affect management training to psychologists in novice professional phase.
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20K03397
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
千葉 浩彦 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (40207296)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感情コントロール訓練 / こども虐待 / PTSD / ACT |
Outline of Annual Research Achievements |
こどもの被虐待経験によるPTSD症状に有効とされるTrauma Focused-Cognitive Behavior Therapy(TF-CBT)などは、児童福祉職5年未満の初心者専門家期職員に普及させるには時間とコストが大きいため、その一部の感情コントロール訓練に脱フュージョンなどのAcceptance and Commitment Therapy(ACT)の要素を取り込んだ研修を新たに企画し、その研修効果(研究1)と現場における臨床的効果(研究2)を検討するのが本研究の目的である。 令和3年度は、基本研修段階[研究1]として、児童相談所(就職後6年以内)の臨床心理専門職に研修に参加してもらい、基礎的面接技法の研修を計8回行った。そのうち、感情コントロール訓練の研修は、1時間の研修を、5回行った。この間に、感情コントロール訓練支援教材を作成した。これは、ストレスと感情の心理教育、感情モニタリング、マインドフルネス、感情表現、脱フュージョン、SST、ライフプランニングの8ステップのワークブックとその実施方法マニュアルである。これにより、自分の感情とほどよい距離を保ち、生活の質を向上させる効果が期待される。この概要は、ACT Japan 2020年度 年次ミーティング(2021.3.13-14.)にてポスター発表した。また、実際の事例についてこの教材を試用して、教材の内容の修正を行った。 なお、初心者専門期職員の臨床スキルがどの程度向上したかの測定については、今年度はまだ実施できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小学校高学年から高校生対象の上記ワークブックとその実施マニュアルは、随時修正を繰り返して、ほぼ完成に近づいている。ただし、小学校低学年版は作成途中である。また、児童福祉現場の多忙な専門職が参加者であるため、研修への参加が急遽できなくなった場合のためのタブレット教材の作成は今後の課題である。 研修参加者に対しても、訓練参加者に対しても、完成版の教材を用いた効果測定はまだ行えていない。 実施においては、自らの担当ケース(PTSD症状を有する子ども・成人)および所属長に対して、匿名化された個人情報の管理方法や、研究参加のリスクなどのへのインフォームドコンセントを得た上で、感情コントロール訓練を実施する。このための研究倫理審査申請を現在すすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、基本研修段階[研究1]の完了を目指して、これまで作成した教材を、実際に臨床現場で試用しながらさらに研修を進める。また、今年度から研修に参加する専門職に対しても研修を行う。その際、研修前後の臨床スキルの測定を行って、スキル向上にどのような研修や臨床実践が影響するかを吟味していくことが大きな目標となる。 さらに、令和5年度からは、感情コントロール訓練段階[研究2]として、研究1の研修を終えた心理専門職が、児童相談所等の児童福祉施設および心理専門相談機関などの実際の心理臨床現場において、PTSD症状を有する子ども・成人を対象とした感情コントロール訓練を実施し、その臨床適用上の問題を調査する。そして、訓練の効果を検証して、本研究全体の有効性を確認することが、研究2の目的となる。 以上の結果が分析されると、感情コントロール訓練にどの程度の研修が必要で、それだけでどの程度の効果が見られるかが明らかになり、より高度な研修の必要性・配分の算定根拠になると考えられる。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表のため、旅費の支出を予定していたが、昨年度の学会はすべてオンライン開催となり、旅費の支出がなかったため、その分の収支が計画と大きく異なっている。 教材作成のためには、人件費が必要であるが、今年度の作業がやや遅れてしまい、人件費の支出が次年度にずれ込んでしまった。 令和4年度は研究が順調に進行して、教材の必要数も多くなり、また、教材の修正も必要になると見込んでいる。このため、人件費および物品費が必要になると考えられる。
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Research Products
(1 results)