2022 Fiscal Year Annual Research Report
Algebraic combinatorics and its ties with other areas
Project/Area Number |
20K03551
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 太初 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50466546)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Terwilliger 代数 / 距離正則グラフ / 量子ウォーク / 量子探索アルゴリズム / 量子確率論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画はグラフに付随する非可換代数、特に Terwilliger 代数の表現論及びその応用を推し進めるものであるが、研究期間中に9本の論文を執筆し、うち6本が本稿執筆時点で出版された。
Terwilliger 代数の表現論については、2005年に発見された非常に特異な距離正則グラフである「捻れ Grassmann グラフ」を考察し、「thin」と呼ばれる場合について Terwilliger 代数の既約加群を完全に決定した。一方応用については、まず量子確率論の観点から所謂「古典的パラメータ」を持つ距離正則グラフに対する量子中心極限定理の研究を行い、可能な極限を古典的パラメータの挙動によって記述した。また、これらのグラフの正規化したスペクトル分布の弱収束極限を求めた。研究計画期間中に最も力を入れたのは量子ウォークに基づくグラフ上の量子探索アルゴリズムの研究であり、距離正則グラフの重要な例である Johnson グラフを考察し、連続時間・離散時間のいずれも古典的アルゴリズムの2乗高速化を実現することを厳密に証明した。また、強正則グラフの埋め込みから構成される「実 equiangular tight frames」や、アソシエーションスキームの「scaffolds」の研究もそれぞれ行った。
最終年度には量子確率論の観点からの研究をさらに推し進め、グラフ上の Gibbs 状態に関連して現れる「Q-行列」の半正定値性について考察した。Q-行列は一つのパラメータに依存するが、可能な最も広い範囲でこの行列が半正定値になるようなグラフの組合せ的特徴付けを行った。また、量子探索アルゴリズムの研究の発展として、有名な決定問題である「Element Distinctness Problem」に対する量子アルゴリズムの改良を試みた。これについては次年度以降に成果を公表する計画である。
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Research Products
(6 results)