2020 Fiscal Year Research-status Report
粗Baum-Connes予想に関わる粗幾何学の新展開
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20K03590
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
尾國 新一 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00549446)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 双曲性 / 非正曲率性 / アルティン群 |
Outline of Annual Research Achievements |
粗Baum-Connes予想は、Novikov予想など微分トポロジーへの応用があるということ、および、ヒルベルト空間への粗埋め込み可能性や漸近次元の有限性などの粗幾何学における重要な性質の応用先であるということから、幾何学者やトポロジストを中心とした様々な研究者に興味を持たれている。また、粗幾何学は、距離空間が主な研究対象であるが、有限生成群は語距離によって距離空間とみなせるため、これも代表的な対象であり、幾何学的群論との関係が深い。 近年において、アルティン群に関する非正曲率性や双曲性の研究の進展は目覚ましいものである。アルティン群の幾何学的群論的な視点からの研究は、研究領域を開拓していくのに適した例として大変な魅力があると考えられる。実際、私自身、加藤本子氏(愛媛大学)との共同研究を行った実績がある。 以上を踏まて、今年度において、加藤氏との共同研究をさらにおし進め、粗幾何学、および、幾何学的群論の立場で、アルティン群についての非正曲率性や双曲性に関わる研究を推進した。特に、非シリンダー的双曲性を持つための十分条件についての考察を行い、この共同研究の内容について論文にまとめる準備を概ね整えることができた。また、Zoomを利用したオンラインでのRIMS研究集会「一般位相幾何学とその関連分野の進展」において「Artin-Tits群の非シリンダー的双曲性について」というタイトルで講演を行うなどの研究広報活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した通り、一年目の研究としておおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記した通り、一年目の研究としてはおおむね順調に進んだので、引き続き本研究を進める。特に、加藤氏との共同研究を論文にまとめるとともに、アルティン群の非正曲率性や双曲性に関わる研究をより発展させ、また、その他の例についても研究を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、出席予定であった研究集会や学会が中止となるなど、他研究者との議論や情報交換を行うことを先送りにせざるを得なかった。新年度において、予算を研究集会出席のための旅費、および、Webでの研究打ち合わせのための機器費として使用する。
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