2020 Fiscal Year Research-status Report
Cohomology of Coxeter groups, Artin groups, and Coxeter quandles
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20K03600
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秋田 利之 北海道大学, 理学研究院, 教授 (30279252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 正彦 北海道大学, 理学研究院, 教授 (90467647)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Artin群 / Coxeter群 / Coxeterカンドル / カンドル / 群のコホモロジー / ホモロジー安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
偶数Artin群に対するK(π,1)予想はR. Charneyの結果により肯定的に解かれており、偶数Artin群のホモロジーの計算は、対応するSalvetti複体という有限正則CW複体のホモロジーの計算に原理的には帰着できる。本研究では第一の実績として、偶数Artin群の整数係数2次元ホモロジー群およびホモロジー群の基底を成す2サイクルを、古典的なHopfの公式と自由Lie環の理論を用いて決定した。さらに偶数Artin群の整数係数1次元コホモロジー類のカップ積を完全に決定した。この結果により偶数Artin群の2次元以下の(コ)ホモロジー群およびカップ積の代数的な意味づけが明確になった。 ホモロジー安定性(homology stability)は群のコホモロジーの理論において重要なトピックの一つである。対称群、より一般にCoxeter群のHepworth族はホモロジー安定性を持つこと知られていた。一方、代表者はCoxeterカンドルの随伴群のHepworth族がホモロジー安定性を持つことを証明していた。本研究の第二の実績としてCoxeterカンドルの随伴群のHepworth族もホモロジー安定性の安定域(stable range)の評価を改善した。改善には代表者によるCoxeterカンドルの随伴群の中心拡大としての特徴づけ(2020)と、Lyndon-Hochschild-Serreスペクトル系列の比較定理が本質的であった。 最後の実績として、互換のなすカンドル(互換カンドル)の随伴群の低次の整数係数ホモロジー群を決定した。決定には線型表現の特性類をはじめとする群のコホモロジーの様々なテクニックを駆使した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は(1)K(π,1)予想、(2)ホモロジー安定性、(3)Coxeter群、Artin群、Coxeterカンドルの随伴群の (コ)ホモロジーの関係、(4)Coxeterカンドルのコホモロジー、(5)放物的部分群構造を持つ群への一般化の5つのテーマからなる。Coxeterカンドルの随伴群のHepworth族のホモロジー安定性の安定域の評価、互換カンドルの随伴群の低次のホモロジー群の計算はテーマ(2)と(4)の進捗に大きく寄与する。 一方、テーマ(1)のArtin群に対するK(π,1)予想の研究の進捗には遅れが生じている。K(π,1)予想はArtin群に同伴して定義されるSalvetti複体と呼ばれる有限正則CW複体のある種の局所係数ホモロジー群の消滅を示すことに還元できる。Salvetti複体の普遍被覆の代数的モデルにArtin群の放物的部分群を利用したフィルトレーションを与えると、フィルトレーションからSalvetti複体の局所係数ホモロジーに収束するスペクトル系列が定まる。そのスペクトル系列を分析することにより、Artin群のK(π,1)予想にアプローチしようというのが本テーマの主要なアイデアであったが、スペクトル系列の解析に種々の技術的難しさがあること、コロナ禍で国外のエキスパートとの議論ができなかったことが進捗が遅れている主たる理由である。同様の理由でテーマ(4)に関しても低次のホモロジー群に関する予備的な考察に留まっている。 テーマ(5)は元々研究計画の後半のテーマと考えていたので、現時点での進捗はない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は(1)K(π,1)予想、(2)ホモロジー安定性、(3)Coxeter群、Artin群、Coxeterカンドルの随伴群の (コ)ホモロジーの関係、(4)Coxeterカンドルのコホモロジー、(5)放物的部分群構造を持つ群への一般化の5つのテーマからなるが、2年目はテーマ(1)と(3)に焦点を当てる。 (1)に関しては、Salvetti複体の局所係数ホモロジーに収束するスペクトル系列を用いて、有限型Artin群に対するK(π,1)予想の別証明を得ることを試み、その試行を通じてスペクトル系列を分析するための技術を蓄積する(有限型Artin群のK(π,1)予想は肯定的に証明されている)。また有理数係数、mod 2係数など整数係数に比べると技術的に優しい場合を考察する。 (3)に関しては1次元と2次元mod 2ホモロジー、1次元と2次元整数係数ホモロジーにZ/2Zをテンソルしたものの関係を完全に決定したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナのため予定していた出張、招聘が全て中止になった。
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Research Products
(2 results)