2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on decay structure of evolution equations arising in Mathematical physics
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20K03682
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| Research Institution | Hiroshima University |
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Principal Investigator |
池畠 良 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10249758)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 波動方程式 / 局所エネルギー / 非有界摩擦係数 / 全エネルギー / 最良減衰率 / 対数型非局所摩擦項 / 回転慣性項 / 正則性損失 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
（1）波動方程式の初期値問題を全空間で考察し、その波の伝播速度を表す変数係数がLipschitz条件を満たし更に空間遠方で定数係数になる場合には、対応する局所エネルギーが代数オーダーで減衰することを指摘した。これまでは、同じLipschitz条件のもとでは対数オーダーでの減衰は知られていたが、係数の状況によってはもう少し繊細に減衰率が分類できることを注意した。（2）非有界な摩擦係数を持つ線形の波動方程式の初期値問題を全空間で考察し、摩擦係数に応じて初期値が空間遠方で速く減衰する場合には、対応する全エネルギーも比較的速く時間減衰することを指摘した。（3）非常に強い非局所摩擦項（Super damping）と分数冪型回転慣性項を持つ２階線形発展方程式の全空間における初期値問題を考察し、その正則性損失構造を明らかにし更に最良な解の上と下からの減衰評価を時間無限大における解の漸近形を抉り出すことによって導出した。（4）回転慣性項と(通常の)摩擦項をもつ線形のplate方程式の初期値問題を考察し、その解の時間無限大における漸近形が初期値の滑らかさによって3つに分類されることを見出し、その分類する滑らかさについての（空間次元に依存する）臨界指数を新たに提示した。(5)ラプラシアンに対応する新しい対数ラプラス作用素を導入しそれに付随する対数摩擦項を持つ全く新しいタイプの波動方程式の全空間における初期値問題を提唱した。次にその解の時間無限大における漸近形及びそれを応用しての対応する解の上と下からのある量の最良評価を導出した。対数ラプラシアンに対応する拡散構造が超幾何関数（の特別な場合）のある漸近的な性質と関連することも偶然に発見するという幸運に恵まれた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績欄にも記載したように2020年度は5本の論文を国際数学誌上に出版することができた。これを「当初の計画以上に進展している」といわずして何と言おうか。
また「当初予期していないことが起こる」ことがあるとしたら、思った以上に「いい問題」が浮かばず研究が進まない状況だと推測するが、その場合は国内外の当該分野の専門家・研究者を招聘（あるいはZoom等で）して関連する研究についてのレヴューを受けることになるだろう。
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| Strategy for Future Research Activity |
まず2020年度はコロナ感染による外出規制もあり海外の共同研究者始め、本来招聘するはずであった国内外の研究者を呼ぶことができなかったため、まるまる2020年度の予算が繰り越しとなっている。その潤沢な予算を利用して、今年度はコロナ収束後の11月位に海外・国内研究者を集めて、国際研究集会を広島大学にて開催することを計画している。そこで関連する研究についての最新の成果を発表していただき、今後の新しい研究のヒント・問題を得る機会としながら研究を推進していく。
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| Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響で、本来2020年11月に広島大学で主催予定であった国際研究集会が開催できなくなったこと、及び通常の国内研究集会がすべてZoom開催となったためすべての出張がなくなったことで使用予定がまったくなくなった。今年度（2021年度）は、相変わらずコロナ感染の収束状況にもよるが、今のところ11月に昨年度できなかった国際研究集会を主催し、更に国内の必要な研究集会にも参加して最新の研究の動向を探り、当該問題の解決に必要な専門的知識を得るためにも幾多の専門書を購入予定である。昨年度の予算がまるまる今年度に繰り越されたので、その潤沢な予算を多くの海外からの専門家の招聘に使って、新しい研究連携網を創りたいと考えている。
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