2021 Fiscal Year Research-status Report
Swarm oscillatorモデルの解析による自己駆動粒子集団の理解
Project/Area Number |
20K03775
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
巌佐 正智 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (20444375)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 自己駆動粒子 / 群れ / 数理モデル / 構造形成 / 走化性細胞 / 細胞間コミュニケーション / 細胞性粘菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主要な研究対象であるSwarm oscillatorモデルは,相互作用する自己駆動粒子集団のモデルであるが,粒子間に生じる相互作用は,作用・反作用の法則が成立しない非対称相互作用となっており,この点で生物的特性を有した粒子であると言える.典型的には,Dictyostelium Discoideumをはじめとする,化学物質の放出・検知を行う走化性細胞の細胞集団がモデルの記述する対象として想定されてきた. Dictyostelium Discoideumはモデル生物であり,数多くの研究が世界で行われ,得られている知見も多い.よって,Swarm oscillatorモデルを基礎づける研究として,Swarm oscillatorモデルで想定されている理論的粒子と,現実のDictyostelium Discoideumの細胞との間に,どの程度の整合性があるか検討を行った. 具体的には,実験的研究による先行研究として,細胞に対してその誘引物質を時間周期的に変動させて刺激する環境下での,細胞の運動の時間変化が捉えられているため,その運動の様子と,Swarm oscillatorモデルで仮定している理論的粒子を時間周期刺激下に置いた際の運動の様子の類似性について比較を行った. 結果として,Swarm oscillatorモデルの理論的粒子の運動が,現実のDictyostelium Discoideum細胞の運動をよく再現することが示された.これに伴い,Dictyostelium Discoideumの様々な特性を定量化することができた.例えば,Dictyostelium Discoideumの慣性,すなわち細胞の移動速度の緩和時間は2-4分であり,これは質量に換算するとトンのオーダーであることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は走化性細胞の細胞集団を代表的な典型例とする数理モデルであるが,上記のように,近年,走化性細胞のモデル生物であるDictyosteilum Discoideumに対する精度の高い実験の報告があったため,その実験結果の再現性の検証を優先すべき研究課題であると位置づけ,本年度は研究を遂行してきており,当初想定していた研究課題については本年度終盤にしか進められなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の計画に沿い研究を遂行する予定である.
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Causes of Carryover |
購入を予定していた,Intel社のコンパイラが,昨年より無償配布となったため,残額が生じています.本年度,有用な計算機ソフトウェアの購入に使用したいと考えております.
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Research Products
(1 results)