2022 Fiscal Year Research-status Report
Swarm oscillatorモデルの解析による自己駆動粒子集団の理解
Project/Area Number |
20K03775
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
巌佐 正智 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (20444375)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 自己駆動粒子 / 群れ / 数理モデル / 構造形成 / 非対称相互作用 / 散逸系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主要な研究対象であるSwarm oscillatorモデルは,相互作用する自己駆動粒子集団のモデルであるが,粒子間に生じる相互作用は,作用・反作用の法則が成立しない非対称な相互作用となっている.そして,その相互作用の非対称性が原因となって,多様な自己組織化パターンがもたらされることがこれまでに解っており,Swarm oscillatorモデルを数理的に探究することで,様々な生物個体集団の集団現象に通底するパターン形成メカニズムを明らかにできるのではないかと考えている. このような視点が妥当なものであるかどうかを確認するためには,Swarm oscillatorモデルの解析のみに注力するのではなく,他方で,現実にはどのようなシステムでSwarm oscillatorモデルと同様の特性をもつ粒子集団が存在しうるかを同時に検討しつつ進めることも重要な課題である. そのような観点の下,人間同士の間に生じる力学的な二粒子間相互作用を解析した結果,人間同士の間にも非対称な相互作用が生じることが明らかとなった.具体的には,力学的に押し合う(または引き合う)人間同士の間には,有効的にはどのような力が生じることになるか,モデル化を行い,解析した.結果として,ある特殊な状況を除き,一般には二人の人間同士の間には,非対称な相互作用が生じることが明らかとなった.さらに,どのような状況下でどの程度の非対称性が生じるかを,人間の典型的なパラメータ値の下で検討を行い,定量的な評価を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に得られた研究成果は,当初の計画の段階では想定されていなかった内容であった.しかし,本研究課題の成果が将来的により意義深いものとなるよう,本来の計画の実施と並行して人間を対象として考察を進めた結果,重要な事実が見いだされる萌しが確認され,また,その結論は異分野にも波及効果のある重要な課題だと考えられたため,その点に焦点を当てて優先的に研究を遂行した.結果として,当初の計画の内容については進捗がやや遅れている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の計画に沿い,研究を遂行する予定である.
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Causes of Carryover |
当該年度に出版した論文があり,その掲載料として必要となることを見込んで十分な額を確保しておいたが,結果的にオープンアクセスオプションのための料金が必要とならない学術雑誌への掲載が決定したため,次年度使用額が生じた.本年度,数値シミュレーションを行うための計算機を更新する予定であるが,生じた額を有効に活用し,迅速な研究遂行を可能とする,より高い機能を備えた計算機の購入に充てたいと考えている.
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Research Products
(2 results)