2020 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ活性溶液によるプリオン感染細胞除去機構の解明
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20K03919
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
作道 章一 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (10397672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三沢 達也 佐賀大学, 理工学部, 助教 (70346873)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プリオン / プラズマ / アポトーシス / プラズマ活性溶液 / 細胞死 / 活性酸素 / 活性種 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、最も抵抗性が高く最強の病原体として知られているプリオンを無害化する目的でプラズマを利用し、プリオンの不活化(分解)に成功している。プラズマ発生により活性酸素種(ROS,Reactive oxygen species)や活性窒素種(RNS, Reactive nitrogen species)等の酸化ストレス物質が同時発生することが、申請者らを含む複数の研究グループの研究で明らかになっている。さらに、プリオン感染細胞は酸化ストレスに弱いことが知られている。そこでそれらの研究を発展させ、プラズマ活性溶液に対してプリオン感染細胞が感受性を示すのかについて研究を行った。2020年度(令和2年度)は、プラズマ活性溶液がプリオン感染細胞への細胞死誘導効果を持つのかについて調べた。プラズマトーチを用いてプラズマ活性溶液を調整し、プリオン(Chandler株)感染神経細胞ScN2aと非感染神経細胞N2aの処理を行った。そして、LDH(乳酸脱水素酵素)アッセイによる死細胞測定やELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)を用いたモノ-およびオリゴヌクレオソーム定量によるアポトーシスの解析を行った。その結果、プラズマ活性溶液が、プリオン非感染細胞よりも感染細胞において高い割合で細胞死とアポトーシスを誘導することを明らかにした。これらのことから、プリオン感染細胞はプラズマ活性溶液に対して高い感受性を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プリオン感染神経細胞が非感染神経細胞よりもプラズマ活性溶液に対して高い感受性を示すことが確認できたことから、おおむね順調に研究が進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、プラズマ活性溶液のプリオン不活化効果を確認するとともに、プラズマ生成時の基礎特性(電圧値、電流値、周波数、ガス種等)が変化した際に起こるプラズマ活性溶液中の酸化ストレス物質の違いを明らかにし、それらがプリオン感染細胞除去効果やプリオン不活化効果へどのように寄与するのかについて、引き続き研究を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で出張を伴う共同研究ができなくなったため、旅費および消耗品費の使用が減ったため。これらは次年度に有効に利用する計画である。
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