2020 Fiscal Year Research-status Report
Production and Decay spectra of doubly strange hypernuclei studied in multi-channels coupling calculations
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20K03954
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
原田 融 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 教授 (70238187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 義治 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (60271714)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ストレンジネス / チャネル結合 / ハイパー核 / 核反応 / 理論核物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子星内部などの高密度核物質の性質を解明するには,ハイペロン-核子(陽子・中性子)相互作用やハイペロン-ハイペロン相互作用などの核力の理解が不可欠である。本研究の目的は, 多重チャネルに拡張された「多重チャネルを結合したグリーン関数法」を用いて, (K-,K+)反応によるダブルストレンジネス核の生成・崩壊スペクトルを理論的に明らかにすることである。初年度である2020年度の研究成果は以下の通りである: (1)原子核を標的にした(K-, K+)反応によるΞハイパー核の生成スペクトルを理論的に評価するためには,Ξハイパー核の構造と(K-, K+)反応による生成過程の理解が不可欠である。そこで(K-, K+)反応の連続状態領域の準自由スペクトル計算に,我々がこれまでに提唱してきた「最適化フェルミ平均の方法」を適用した。その結果,核内での(K-, K+)反応は核子のフェルミ運動などの媒質効果により準自由スペクトルに特有のエネルギー依存性が現れることが分かった。また12Cを標的にした生成断面積を求めるために,フェルミガス模型を適用した計算式を導出した。その成果は,学術雑誌から論文として出版された。 (2)9Beを標的にした(K-, K+)反応によるΞハイパー核の準自由スペクトルを解析し,(K-,K+)反応の生成機構とグザイ核ポテンシャルの性質やΞN-ΛΛ相互作用の性質を引き出すことを試みた。その結果,Ξと芯核との間のポテンシャルは実部の深さが約17MeVの引力であることが示されたが,ポテンシャルの虚部の情報については,実験データのエネルギー分解能が十分でないために決定できないことが分かった。その成果は,学術雑誌から論文として出版された。 (3)大強度陽子加速器施設のE05実験で得られた12Cを標的にした(K-, K+)反応によるΞハイパー核の準自由スペクトルの理論解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学術雑誌に投稿した論文がレフェリーによる審査過程で多くの日数を要し,出版が遅れた。またコロナ禍によって研究打ち合わせなどの計画していた出張が実施できず,研究分担者との具体的な共同作業がやや困難な状況となり,計算方法の改良などの問題点の解決が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最近,エマルジョン実験の解析から,Ξ-粒子がΞ原子の2p状態からまたは1s状態から原子核に吸収されている事象が報告された。さらに最新の格子QCD計算から,ΞN-ΛΛ結合のポテンシャルの性質が示唆されている。これらの情報は核物質中でのΞN, ΛΛ相互作用やΛΛNの3体力の性質と極めて密接な関係がある。 本研究では,目的であるΞNやΞN-ΛΛ結合の核内有効核力の性質を理論的に解明するために,(K-,K+)反応で生成されるダブルストレンジネス核の生成・崩壊スペクトルの計算を計画通りに進めていく必要がある。特に微視的模型に基づいた計算コードの開発・拡張に作業を集中していくことが望まれる。そして大強度陽子加速器施設で実施された12Cを標的とした(K-, K+)反応によるΞハイパー核生成スペクトルの理論解析をさらに進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって共同研究のための出張が計画通りに実施できなかったものがあり、そのための旅費が使用されなかった。次年度に繰り越された助成金は、次年度に購入を予定しているワークステーションの物品費の一部として,翌年度分として請求した助成金に加算して使用する。
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Research Products
(6 results)