2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of origin of flavor asymmetry of anti-quarks in the proton by Drell-Yan experiment
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20K04000
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
柴田 利明 日本大学, 理工学部, 特任教授 (80251601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反クォーク / クォーク / 海クォーク / ドレル・ヤン過程 / フレーバー対称性 / 量子色力学 / パートン / ミューオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、国際共同研究SeaQuest実験を推進した。実験データ解析とそのための測定器類のハードウェアの性能の解析が主たる内容である。陽子はアップクォーク2個とダウンクォーク1個から構成されているだけではない。そのほかにクォーク・反クォーク対がある。これらは逐次、生成・消滅していて、海クォークと呼ばれている。この反クォークのなかでも反ダウンクォークと反アップクォークの数の比を測定するのがSeaQuest実験の目的である。 フェルミ国立加速器研究所の120 GeV 陽子ビームと陽子、重陽子の標的とを用いて実験を行っている。量子色力学によると、強い相互作用の結合定数はクォークのフレーバー(香り)に依らないので、反ダウンクォークと反アップクォークは同じ量だけ生成されると予測されていたが、CERN-NMC実験のミューオンビームを用いた深非弾性散乱によって反ダウンクォークの方が反アップクォークより多いことが明らかになった。これを陽子内の海クォークのフレーバー非対称性と呼んでいる。この問題を、SeaQuest実験はドレル・ヤン反応という過程を用いて、生成されたミューオン対を測定して研究している。SeaQuest実験は、前年度、2021年度末に最初の実験結果をNature誌に発表した(J.Dove et al., SeaQuest Collaboration, Nature 590 (2021) 561-565, The asymmetry of antimatter in the proton)。これは短報であったので、本年度は本論文のために、詳細なデータ解析を行った。 もう一つの方向は、SeaQuest実験のようなドレル・ヤン反応の結果と深非弾性散乱の結果を総合的に解析する手法を確立することである。これについても研究を進めた。特にDESY-HERMES実験の結果との関連を研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は国際共同研究であり、本年度は海外出張をしてデータ解析の打ち合わせ会議をする予定であったが、COVID-19の影響で海外出張を中止し、テレビ会議、電話会議に切り替えたが、データ解析の初期の目的を達成すことができた。テレビ会議は日本-アメリカ-台湾の間で毎週1回、定期的に行っている。実験の測定器類の購入については、COVID-19のため工場での生産が止まり購入を延期せざるを得ない物品もあったが、既存のものを修理・改良して使うなど工夫をして、研究計画は順調に進展した。データ解析の結果の論文を作成中で、近く発表する予定である。本研究の最終的な目的は、陽子の内のクォーク・反クォーク構造の解明である。特に反クォークは、量子色力学(QCD)によって生成される粒子なので、それに着目して研究を行っている。実験手法としてはドレル・ヤン反応と深非弾性散乱とがあるが、その双方からの結果を総合的に理解することが重要である。その解析手法の確立のために研究をし、2021年9月、2022年3月の日本物理学会の大会でもその成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、SeaQuest実験のデータ解析を進めて、論文を逐次、発表する。その方法は軌道に乗っているので、優先順位を考慮して実践する。 SeaQuest実験の実験装置は磁気スぺクトロメーターであり、磁場中で曲がる荷電粒子の軌跡を測定してその運動量を決定する。ミューオンの運動量の決定のために用いている電磁石の前後の粒子位置検出器ドリフトチェンバーの検出効率について、詳細な評価をしてSeaQuestのデータ解析を行う。そのためには、ドリフトチェンバーの信号に用いているエレクトロニクスの性能評価が重要な役割を果たす。テスト信号で試験をすることが可能で、その方法は確立している。 実験データ解析では、研究者間の連携が重要である。SeaQuest実験の中でも日本グループのメンバーは常に連絡を取って情報共有をしており、データ解析において中核的な役割を果たしている。今後もこの体制を続ける。
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Causes of Carryover |
2021年度は海外出張をして実験データ解析の会議に参加する予定であったが、COVID-19の影響で中止し、テレビ会議、電話会議に切り替えた。その分、2022年度は国内外の研究会において成果を発表し、実験データ解析の議論などをする予定である。 実験機器について、COVID-19の影響で工場で生産ができず購入を延期せざるを得なかった物品がある。これらは、2022年度に購入して研究の当初の目的を達成する計画である。
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Research Products
(5 results)