2020 Fiscal Year Research-status Report
海洋プレートを産み出す上部マントル不均質とプレート形成場との関連性解明
Project/Area Number |
20K04111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仙田 量子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (50377991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 知晃 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (80334746)
針金 由美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (90569360)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マントルかんらん岩 / マントルへの水の関与 / 背弧海盆 / 中央海嶺 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋プレートを構成する海洋地殻の物質科学的構造の詳細な再検討により、異なる海洋プレート形成場における最上部マントル物質の相違を把握・検証し、上部マントルの物質構造を時間軸を絡めた4次元で制約することが本研究の目的である。中央海嶺と背弧海盆という異なる海洋プレート形成場で採取された最上部マントルと目される「かんらん岩」の構造発達史、形成年代およびメルト抽出年代、地球化学的性質(溶融条件)を把握し、これらの相違あるいは類似点を結晶構造的・物質化学的に明らかにする。その上で、それぞれの海洋プレート形成場と最上部「かんらん岩」組成のマススケールでのモデル化から先行研究と比較・検討を行い、上部マントル「かんらん岩」からの海洋プレート形成論とその進化モデルの提案を行う。 そのために、我々が具体的に行っているのは、①精密Os(オスミウム)同位体比分析と白金族元素(PGEs)組成分析を行い、「かんらん岩」のメルト抽出年代とそれらの溶融条件・機構の推定②「かんらん岩」の緻密な組織観察によるその構造発達史と由来の推定③「かんらん岩」の残存鉱物の元素・同位体組成分析によって溶融条件や年代を詳細かつ正確に制約する。の3点である。 このうち、研究初年度である2020年度は、主に北部マリアナトラフから得られた「かんらん岩」の緻密な組織観察が行われ、その結果、高温から低温での変形微細構造や複数回のかんらん岩への岩脈の貫入があったことが判明した。北部マリアナトラフは背弧海盆に関連しており、中央海嶺というある意味正統な海洋プレート形成場とは、形成システムや環境が大きく異なることが想定される。そのため、①や③の分析を進めると同時に、すでに研究チームが持っている中央海嶺近辺で採取されたかんらん岩の分析結果との丁寧な比較を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言等による首都圏への移動の自粛等のため、Os同位体比分析に必要な実験・分析設備のある独立行政法人海洋研究開発機構に赴くことが難しく、初年度に予定していた①のOs同位体比分析の分析が終了していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに対象試料の微細構造や結晶中の化学組成の分析は終了している。しかしながら、本研究の肝となるOs同位体組成の分析が進んでいな研究代表者の所属で必要な実験のうちの多くができるような実験室整備を行った。分析を行うために独立行政法人海洋研究開発機構に赴く必要があるものの、分析のみを行うため日程の短縮が可能となる。初年度の遅れを取り戻し、実験を進める予定である。
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