2022 Fiscal Year Annual Research Report
What is the origin of friction force depending on the sliding velocity? Approach from atomic-scale behavior in real area of contact
Project/Area Number |
20K04115
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20400426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 郁夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10448235)
河合 研志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20432007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 速度・状態依存摩擦則 / 直接効果 / 熱活性化過程 / 粘土鉱物 / 摩擦 / 分子動力学計算 / 断層 / 地すべり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、断層や地滑り面の摩擦挙動を支配する物理法則の背景を、物質の性質から明らかにすることを目的とする。具体的には、すべり速度の変化に応答した摩擦力の変化(いわゆる直接効果”a”パラメータ)の起源を明らかとする。 最終年度は、特にこれまで実施してきた速度変化の摩擦試験結果と分子動力学(MD)計算の解析を実施した。 摩擦試験結果の試料は白雲母であり、すべり速度の変化に応答した摩擦力の変化(”a”値)の温度依存性が、従来の摩擦理論で説明できない応答を示した試料である。摩擦試験後の白雲母摩擦面を顕微鏡および走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面にせん断方向と平行に発達した条線がみられた。これは表面での摩耗粒子の生成と掘り起こしにより形成されたと考えられ、一般に摩擦面でよく観察される摩擦痕である。従来に無い特徴として、この条線と垂直方向に発達した多数の線が観察された。この線状構造の詳細は未解明であるが、層構造である白雲母表面の何層かが圧縮されて山状に変形したいわゆるripplocation構造もしくは転位すべりの痕跡を呈していると考えられる。このripplocation構造による変形もしくは転位すべりが”a”値の異常な温度依存性に関係している可能性がある。 MD計算では転位すべり時に”a”値の温度依存性を調べるために、底面と平行方向のせん断を加え、その摩擦力を計算した。MD計算で扱えるせん断変形速度は、実験での変形速度よりもかなり大きいが、低速度に外挿しても良い条件の計算結果を解析すると、”a”値は温度に依存せずほぼ一定となることがわかった。このことは実際の白雲母の摩擦で起きている変形機構が層間すべりではない可能性を示唆しており、ripplocationによる変形等のすべり速度・温度依存性を調べる必要がある。
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Research Products
(2 results)