2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of non-local structure in Nikolaevskii turbulence toward understanding transition from convection to turbulence
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20K04268
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鳴海 孝之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50599644)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 弱い乱流 / Nikolaevskii乱流 / 平均流 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの乱流に関する研究は十分に発達した乱流が主な対象であったが,乱流の制御という点では,乱流転移点近傍での物性解明が必要となる.研究代表者は,対流構造と平均流の競合により生じる乱流の数理モデルであるNikolaevskii乱流を理論的に研究してきた.これまでに,転移点近傍で,対流の特徴的長さよりもはるかに大きい構造を見出し,さらにこの非局所構造の特性がべき乗則で記述されることを明らかにしていた. 本研究では,非局所構造の定量特性から普遍性に迫るという独自の問題を設定し,空間2次元系でのNikolaevskii乱流の非局所構造を非平衡統計力学の手法で研究することとしている.テーマは,(A) 非局所構造の詳細な物性研究,(B) 非局所構造の起源解明,(C) 実験結果との比較,そして (D) べき乗則の理論解析という四つを設定している. そのうち,令和2年度では当初の計画通り(A)と(B)を実施した.(A)については空間2次元に関するシミュレーションコードの構築に取り組むことで,研究の基盤構築を目指した.効率的にシミュレーション結果が得られるようになったため,体系的に物性研究を進められる道筋をつけた.一方,(B)について,Nikolaevskii乱流の起源である二つの効果のうちの平均流の影響を理論的に制御することで,非局所構造の起源解明に迫った.その結果,平均流の影響を軽減させたときに振動パターンを見出した.現在のところこの振動パターンの物理的起源は明らかではないため,残りの研究期間で明らかにすることで研究目標の達成へとつなげていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により,大学の授業がオンライン化するなど予想外の業務が増えてしまった.また,国内および海外出張の制限により,当初予定していた研究議論をする機会も著しく減ってしまった.これらに対応する必要性から,予想していた分の研究時間を確保することが困難な状況となり,結果として当初予想されていたよりはやや遅れていると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響についてはまだ予断を許さないものの,オンラインによる活動の知見は大きく蓄積された.これにより,新型コロナウィルス以前の状況よりも効率的に研究を進められる状況にもなった.こういった活動を通じて共同研究者との研究議論を一層進め,研究を前進させていく.また,海外出張ができなくなった分の予算により,研究で用いているシミュレーションコードの高速化を専門業者に委託することを計画している.これにより,当初の予定よりも研究を進められる環境は整っている.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で,当初予定していた国内出張と海外出張がキャンセルとなってしまい,その分の旅費支出がなくなった.また,独立基盤形成費として追加配分を受けたが,初年度に偏ることなく研究期間内に計画的に使用するために,次年度使用分を残した. 翌年度は本研究での基幹となるシミュレーションコードの高速化を外部委託する計画を立てており,次年度使用分は主にこの費用にあてる.
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