2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elusidation of the mechanism of the "jumping and dropping effect near the mechanical resonance of a piezoelectric element and the solutions to its technical problems
Project/Area Number |
20K04341
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
足立 和成 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (00212514)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 圧電セラミック / 跳躍・降下現象 / 電界集中起因説 / 分極反転 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず前年度までの成果を要約する。ハード系圧電セラミック素子に関しては、その機械共振点近傍での「跳躍・降下現象」の支配的機構は、同近傍で生じる電界分布の著しい乱れに伴う局所的な電界集中によって、それが抗電界を超えることで生じる結晶ドメイン単位での分極反転であるとの仮説(電界集中起因説)の妥当性が、数値シミュレーション並びに実験結果から間接的に確かめられた。またそのことなどから、圧電セラミックの三次の弾性的非線形性の効果が同現象の原因であるとの従来の説には、全く説得力がないことも明らかにしている。 一方、機械的共振先鋭度が低い(機械損失が大きい)ソフト系圧電セラミック素子に関しては、振動振幅やアドミタンスの絶対値の周波数特性の機械共振点近傍での履歴現象が、印加駆動電圧の増加とともに著しくなっていくことは、同様に観察されるものの、それらの不連続的に急激な減少と増加を特徴とする「跳躍・降下現象」の顕著な発現自体が、実験的には確認できていなかった。これは他の先行研究の文献においても示されている事実であることから、最終年度は予定していた本研究の成果に関する原著論文の発表を見合わせて、その原因を追究することに注力した。残念ながら、本研究計画内においては、最終的な結論を導くことができるまでの、理論的・実験的な確証を得ることはできなかった。そのため、ソフト系のものを含む圧電セラミック素子全体に適用可能な「跳躍・降下現象」の機構解明は、現時点ではできていない。だが同時に、圧電セラミックの三次の弾性的非線形性の効果を同現象の原因する従来の説でも、このことに説明はつかないことは明らかである。 ただ少なくともハード系圧電セラミック素子に関しては、同現象の機構の説明として電界集中起因説が妥当であることを、他のハード系セラミック(富士セラミックC-204)についての実験でも確認できている。
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Research Products
(1 results)