2021 Fiscal Year Research-status Report
Assessment of urban seismic damage and proposal of urban seismic index in cooperation with local government
Project/Area Number |
20K04778
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田嶋 和樹 日本大学, 理工学部, 教授 (60386000)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 地震損傷評価 / 耐震指標 / 建物群 / 鉄筋コンクリート / 地方自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる課題の1つは,自治体が保有する建物データと「損傷スペクトルに基づくRC造建物群の地震損傷評価手法」を融合し,実在する地域において想定地震動や過去の大地震に対する個々の建物の損傷レベルを推定することである。もう1つは,自治体職員との協働によって建物群の地域特性を考慮した地域全体の耐震指標の提案を試みることであり,本研究では自治体において優先度が高い避難所や津波避難ビルなどのRC造建物群の耐震安全性評価に対象を絞っている。 昨年度は,新型コロナウィルス感染症への対応から,自治体との協働は控えざるを得なかった。本年度も引き続き新型コロナウィルス感染症への対応が求められたが,11月~12月にかけて自治体職員との協働を行うことができた。以下,本年度の研究実績について,設定した4つの研究課題ごとに示す。 「課題Ⅰ:自治体保有の建物データの可視化とそれに基づく建物群の地域特性の分析」においては,国土交通省が主導するPLATEAUの利用について検討し,日本全国に本研究手法を展開できる可能性があることを確認した。「課題Ⅱ:損傷スペクトルに基づくRC造建物群の被害想定と既往の被害想定との比較」では,自治体との協働により,3つの建物(市役所,小学校,消防署)に地震計を設置し,地震観測をスタートした。これにより,建物への実効入力の把握を試みる。「課題Ⅲ:地震入力シナリオにおける建物群の損傷評価に基づく都市の強みと弱点の分析」では,課題となっていた旧耐震基準で設計された建物に対する損傷評価手法の見直しを図った。「課題Ⅳ:都市の強みと弱点を反映可能な都市全体の耐震指標の提案」では,自治体との協働により,検討対象地域の建物の全数調査を実施した。今後は自治体所有の建物データに全数調査の結果を反映し,建物群の地域特性を明確にする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,新型コロナウィルス感染症の流行のため,協働している自治体へ赴くことが難しい状況にあった。そのため,自治体から提供していただいた建物データの可視化や地震損傷評価結果の可視化に関する作業に多くの時間を割き,当初の予定よりも早くこれらの研究成果を達成している。本年度も引き続き新型コロナウィルス感染症への対策が求められたが,自治体担当者と継続して話し合い,比較的感染が収束した11月~12月に協働する機会を得ることができた。そこで,昨年度計画したが実施できていなかった現地の建物調査を2回に渡って実施し,対象建物の2/3程度となる約1000棟の建物の調査を終えた。また,自治体が管理する市役所,小学校および消防署に地震計を設置し,地震観測をスタートすることができた。併せて,小学校の耐震補強の状況も調査することができた。したがって,研究の全体計画としては,概ね予定通り進展させることができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き,新型コロナウィルス感染症への対応を考えざるを得ない状況であるが,感染が収束するタイミングに合わせて自治体と協働可能であることが確認できた。現地の建物調査については,2022年度に残り1/3について完了し,建物群の地域特性の把握に努めたいと考えている。また,自治体が管理する3つの建物に地震計を設置し,地震観測を始めることができた。なお,地震計の観測データはサーバー上に自動的にアップロードされる仕組みのため,東京に居ながら観測データを確認・入手できる。そのため,地震観測を継続し,国が管理する地震観測点の記録データとの比較を通じて,建物への地震動の実効入力について検討を進めたいと考えている。さらに,耐震補強された小学校において,耐震補強状況の調査を実施することができたため,耐震補強の効果についてシミュレーションを通じて検証するとともに,今後の大地震による被害想定が建物の更新にどのように影響を及ぼすのかについて,自治体管理者との協働を通じて検討していきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウィルス感染症の流行により,協働する自治体職員との打合せや当該自治体において検討対象としている地域の建物調査が一部次年度に持ち越しになったためである。これにより,旅費が予定額より少なくなっており,次年度使用額となっている。この次年度使用額については,2022年度に改めて実施を予定している建物調査の旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)