2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of evaluation on effects of utilizing a parasol on adaptation to thermal comfort for pedestrians in summer season
Project/Area Number |
20K04808
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉田 伸治 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (50343190)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 屋外空間 / 日傘 / 夏季 / 暑熱環境 / 適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、(1) 実験による日傘用生地の日射、長波長放射環境への影響評価、(2)人工気候室・屋外被験者実測による歩行者の日傘利用の暑熱環境緩和効果の評価、(3)放射・CFD連成解析による日傘表面ならびに人体部位別の熱・物質伝達率の推定、の3項目のサブテーマに取り組んだ。サブテーマ (1) については、実際に日傘に使われている生地を入手し、日射反射率、放射率を計測した。ここで得られた計測値は、(3)の数値解析における日傘の熱物性の設定条件として活用された。サブテーマ (2) については、新型コロナ感染防止対策への配慮から、人工気候室での被験者実験を断念し、実際の駅前広場での温熱環境の実測、歩行者の暑熱適応行動の観察を通じて、歩行者の日傘利用による暑熱環境への適応実態を調査した。この調査では、日傘等の防暑アイテムの活用が、歩行者の駅前交差点における信号待ち場所の選定(日影信号待ち or 日向信号待ち)に作用することが確認された。また、この調査では、信号を待ち始める時点の待ち時間の目安を示すゲージの値が、歩行者の信号待ち場所の選択に強く作用することが明らかとなった。サブテーマ (3)については、人体、並びに日傘の形状を詳細に再現した放射・CFD連成解析を行い、日傘の有無が人体周辺微気候に与える影響の分析に取り組んだ。この解析により、日傘の活用が上半身(特に頭部、肩付近)の日射吸入熱量、皮膚温度分布などに強く作用することが改めて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりはやや遅れている。例えば、サブテーマ(2)においては、新型コロナ感染防止の配慮から人工気候室を活用した被験者実験を行うことができなかった。そのため、日傘の利用による人体表面の皮膚温度、発汗量等の生理データの分析が未着手となった。サブテーマ(3)では、解析に用いた商用の解析ツールの活用方法の習得に時間を要したため、人体モデル内の温熱生理反応を組み込むことができず、人体の熱物性を水とみなした解析を行うこととなった。これらの点は、令和3年度の研究の遂行時に合わせて取り組むべき内容と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、以下の項目のサブテーマに取り組みたい。(2) 人工気候室・屋外被験者 実測による歩行者の日傘利用の暑熱環境緩和効果の評価、(3) 放射・CFD連成解析による日傘表面ならびに人体部位別の熱・物質伝達率の推定、(4) 日傘利用による総合的な暑熱環境改善効果のサブモデルの開発、(5) 放射・CFD・多分割人体体温調節機構連成数値解析に基づく街路空間内の 非定常・不均一暑熱環境評価技術への日傘サブモデルの組み込み。今年度は特に、サブテーマ(4)、(5)に達成を大きな目標としたい。ただし、新型コロナ感染防止対策の観点から研究内容の修正が必要となった場合は適切に内容の修正を図りたい。
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Research Products
(1 results)