2021 Fiscal Year Research-status Report
Solving container congestion problems by fast enumeration of optimal answers
Project/Area Number |
20K04967
|
Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
小池 英勝 札幌学院大学, 経済経営学部, 教授 (60405636)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 組合せ最適化 / CPMP / コンテナプリマーシャリング問題 / 最適化 / ロジスティックス / 並列処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンテナ流通の混雑は,世界経済に影響を与えるできるだけ早く解決するべき重要な問題である.この混雑解消を目的とした取り組みの一つとして,コンテナプリマーシャリング問題(CPMP)の解決がある.CPMPの最適解を高速に求めることができれば,コンテナ輸送の時間を短縮することができる.また,最適解が複数ある場合にそれを列挙できれば,より大域的な最適化に役立つ. 令和3年度は,CPMPの最適解を列挙する実験プログラムを高速化するための研究を行った.この研究は,以下で述べる(1)と(2)から成る. (1)実験プログラム全体のレビューとリファクタリングを行った.このことによって,複数のバグを修正し,今後の機能改善を効率よく行えるようにした. (2)過去の関連研究で提案されている効率化技術の中から実験プログラムの効率化に寄与する可能性が高いものを導入し効果を測定した. 本研究の実験プログラムは,最適解を求めるための処理を可能な限り効率化する必要がある.しかし,実行効率のための最適化はプログラムを複雑にする傾向があるので,新しい機能の追加によるプログラムの変更が全体に大きな影響を与えることがある.そして,新しい機能の追加によって理論的に効率化できても,プログラムとして実行したときにも効率化できるとは限らない.ときには,効率が悪くなることもある.さらに,複数の効率化技術を組み合わせると副作用が起こり,解の最適性が失われることがある.副作用が起こる機能を組み合わせて使う場合には,最適性を保証するための技術が必要である.それと同時に,組み合わせた機能同士の相互作用をできるだけ効率化する必要がある.該当年度では,これらの新しい問題を発見し,異なる高速化技術の組み合わせによって起こる副作用の具体例を観察し一部を解決しながら,より大域的な最適化の方法を模索した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に計算リソースを強化して,それを効果的に活用する実験プログラムを動作させながら改良する予定だった. しかし,新型コロナウィルスのまん延の影響で機材の設置作業ができる期間が限られたことと,世界的な半導体不足により,機材の見積もりや調達のめどが立たなくなったことにより,当該年度に予定していた予算執行は断念せざるを得なかった.また,半導体関連製品の価格の高騰が起こったため,次年度に予算内で購入できる可能性をできるだけ高めるため,他の予算執行も見送った. 実験プログラムの開発については,研究実績の概要で述べたように進展したが,新しい計算リソースへの最適化はこれからである.これらのことを合わせて,全体としてやや遅れていると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に予定していたが,「現在までの進捗状況」の「理由」で説明した理由により延期した予算執行を令和4年度に行い計算リソースを強化する.このことによって,実験プログラムが強化された計算リソースを効率的に活用して,より高速に計算できることを確認しながら,これまで解けなかった問題の最適解を求める. これまでの実験プログラムの開発により,予定している計算リソースが導入されれば,新しい最適解が得られる可能性は高いと考えている.しかし,本研究で設定した大規模な例題の全ての最適解を得るためには,実験プログラムを新しい計算リソースに最適化する必要があると考える.実験プログラムを新しい計算リソースに最適化した後でも最適解が得られない場合は,既存の関連研究の最適化技術の導入を行う.導入する技術は主に最適解の長さの下限の計算技術である.下限の計算の精度の改善は,全体の効率を大きく改善できる.本研究で開発した下限の計算技術と組み合わせたり,個別に切り替えたりして使うことで,できるだけ最適解が得られる問題例を増やす. CPMPは,問題のサイズが同じでも,個々の問題毎に計算量が大きく異なる.その一因は,同じサイズの問題でも,有効な計算の効率化技術が異なるからだと考えられる.これは,これまでの実験結果からの予想である.計算の効率化技術は,その精度が高いほど,計算コストが高い傾向にある.よって,全ての効率化技術を同時に動作させると,無効な効率化技術の実行で全体の計算効率を下げてしまう. 上で述べた作業の中で,個々の問題に対して有効なものを特定できる技術を開発したい.この技術が実現すると,実験プログラムを更に効率化できる見込みである.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルスの流行により,機材の設置作業ができる期間が限定されたことと,世界的な半導体不足により,機材の見積もりと調達ができなかったためである. 使用計画については,令和3年度で断念した計算リソースの強化に用いる.強化した計算リソース上で実験プログラムを動作させ実験データを収集する.それと同時に,実験プログラムを強化した計算リソースに最適化する. 実装済みの高速化技術と,これから実装予定の高速化手法,そして,計算リソースへの最適化を副作用無く,かつ,全体として計算効率が向上するように統合する. このことによって,目的の大規模な例題の最適解をできるだけ得られるようにする.
|