2022 Fiscal Year Research-status Report
Solving container congestion problems by fast enumeration of optimal answers
Project/Area Number |
20K04967
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
小池 英勝 札幌学院大学, 経済経営学部, 教授 (60405636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 組合せ最適化 / CPMP / コンテナプリマーシャリング問題 / プログラム最適化 / ロジスティックス / 並列処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界経済に影響を与えるコンテナ流通の混雑はできるだけ早く解決するべき重要な問題である.この混雑解消を目的とした取り組みの一つとして,コンテナプリマーシャリング問題(CPMP)の解決がある.CPMPの最適解を高速に求めることができれば,コンテナ輸送の時間を短縮することができる.また,最適解が複数ある場合にそれを列挙できれば,より大域的な最適化に役立つ. 実験プログラムを実行するためのワークステーションを令和3年度に導入する予定だった.しかし,新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な半導体不足の影響で調達が困難になった.そのため,導入を次年度に先送りせざるを得なかった.令和4年度は,このワークステーションの導入を行った.このことにより,実験プログラムの実行環境が既存のものと比べて並列処理の能力とメモリの容量が共に倍になった.結果として,より効率的に実験プログラムを動作させることができるようになった. 新しく導入したワークステーションで実験プログラムを実行させ,これまで解けなかった問題群の一部に対して最適解を得た.本研究の目標の一つである,過去の論文で公開されている大規模な問題群の最適解を得るという取り組みに関して,現時点で対象としている問題の約89%に対して最適解を得ることができた.このことによって,本研究で開発した問題解決方法の有効性を一定程度示すことができると考える.そして,得られた解とその処理の履歴を用いることで,計算効率のさらなる改善を行うことができると考える. 今後は,残りの約11%の問題に対して最適解を得るための試みを行う.これらの問題は,現状のシステムでは時間がかかりすぎるため途中で中断せざるを得なかったものであり,解が得られるために必要な時間はわからない.しかし,実験プログラムの改善の余地は多く残されており,取り組みを継続することで今後も新たに最適解が得られる可能性が高いと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な半導体不足の影響により延期した新しいワークステーションの導入を令和4年度に行い,実験プログラムをこれまでよりも高速に動作させることができた.その結果,本研究の目標の一つである既存の公開されている大規模な問題群の最適解を求めることを約89%達成した.現状では,計算方法とそれに基づく実験プログラムにまだ改善の余地がある.また,研究成果の公表の準備が遅れている.そのため,本研究を1年間延長することにした.これらのことを合わせて,全体としてやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,過去の論文で公開されている大規模な問題群の最適解を求めるという目標は約89%達成している.残りの約11%は,これまでの試みで最適解を得ることができなかった難しい問題といえる.今後は,残りの問題に対して解を得るための取り組みを行う.それと並行して,研究成果を検証し,発表するための取り組みを行う.これらの取り組みは,主に以下の(a)~(c)で構成される.(a)計画の遅れや最近得られたアイディアであることなどが理由の未実施のシステム最適化をできるだけ実施する.(b)得られた解の最適性の検証を行う.(c)これまでの研究成果の公表の準備を行う. (a)に関して,これまでに得られた最適解とその処理の履歴からコンテナの最適な動きの規則を発見して一般化し,他の未解決の問題に応用できないか検討する.(b)に関して,得られた解の正しさは簡単に確認できるが,それが最適であることを確認するのは容易ではない.その理由は,採用しているアルゴリズムの正しさと,実装されたプログラムの正しさ両方の証明が必要だからである.そこで,まず始めに,一般的なソフトウェアテスト技法を用いて検証を行い,その後厳密な証明を試みる. 現状の実験プログラムは,複数のスレッドが同時に計算を進めながら,各スレッドが情報を共有することで,大幅に計算効率を改善している.スレッド間の情報共有はメモリを用いる.そのため,実行に用いるワークステーションは,並列処理能力とメモリの容量と処理能力が高くなるほど,実験プログラムは高速に動作する.しかし,現状の計算機はメモリの速度がCPUに対して低速なため,スレッドの数が一定数を超えると,計算効率が理論値よりも大幅に悪化する.この性能低下を抑える方法を開発し,更に多くの問題の最適解を発見したい. 残りの研究費は,論文校正,論文掲載料等の研究成果発表のために使用する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大と世界的な半導体不足で令和3年に導入予定だったワークステーションの導入を令和4年度に実施した.半導体不足の影響で,ワークステーションの価格の上昇が懸念されたため,予算内で購入できなくなるリスクをできるだけ小さくする目的で,他の予算執行もすべてワークステーション購入後に行うことにした.上記の理由による計画の遅れが,次年度使用額が生じる原因になった. 次年度は,主に以下の(a)~(c)を行う予定である.(a)計画の遅れや最近得られたアイディアであることなどが理由で未実施のシステム最適化を実施する.(b)得られた解の最適性の検証を行う.(c)これまでの研究成果の公表の準備を行う. 次年度使用額は,論文校正,論文掲載料等の研究成果発表のために使用する予定である.
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