2020 Fiscal Year Research-status Report
緊急事態に対する不安改善がヒューマンエラーを防止する -現場への還元に向けて-
Project/Area Number |
20K05004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 真由子 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70823764)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 緊急事態 / あせりあわて / 認知行動療法 / ヒューマンエラー / 認知再構成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は今まで,緊急事態に陥った際のヒューマンエラーやその対処方法について研究を行ってきた。その近年の研究結果からは,認知行動療法を踏まえた手法を応用し,事前に緊急事態に対するプレッシャーや不安を事前に文字に書き出しておくと,緊急事態に陥った際もある程度落ち着いて行動ができることが見出されている。 以上を踏まえ本研究では,その対処方法のメカニズム解明と現場への還元を目指した。つまり第1の目的は,対処方法を実施するとなぜ行動が改善するのか,そのメカニズムを実験や生理指標分析により見極めることであり,第2の目的は,緊急事態におけるヒューマンエラーが致命的なミスとなり得る現場への対処法の浸透である。 ただし,2020年度は,コロナ禍のため研究計画書通りの現場検証実験ができなかった。代わりに,今まで開発した対処法を用い,今までは用いていなかった視覚課題であるn-back課題を用いても,先行研究と同様のパフォーマンス改善の傾向が見られるのかを検討した。その結果,開発した対処法を事前に実施した後にn-back課題を実施すると,対処法を実施しなかった場合よりもパフォーマンスが高くなることがわかった。これは,我々が開発した簡易的な認知行動療法がワーキングメモリにもポジティブな影響を及ぼすことを意味する。また,n-back課題でも先行研究同様の結果が得られたことで,我々の開発した対処法は,task-dependentで使用が限定されるものではなく,比較的広く汎用的に使用できる可能性が高いものであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため,当初予定していた実験計画での研究が実施できなくなった。しかしながら,予定を変更した上でコロナ禍でも実施可能な実験を実施したため,我々が開発した対処法の新たな一面を測定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もコロナ禍のため,現場検証実験が実施できるかどうかが不明瞭である。ただし,現場との詳細な打ち合わせを行うことで,可能な範囲で現場検証実験を行いたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は,コロナ禍で予定していた現場検証実験が実施不能となったた。そのため,急遽2021年度に現場検証実験を実施するための金額を追加した。
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Research Products
(3 results)