2021 Fiscal Year Research-status Report
Cultivation and molecular biological analysis of copper reducing bacteria as for a copper recycling from low-grade metal ore
Project/Area Number |
20K05407
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
細田 晃文 名城大学, 農学部, 准教授 (50434618)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 銅イオン還元 / 嫌気性細菌 / Alteromonas / 次世代シークエンス / 酸化銅 / 硫化銅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,前年度までに申請者が構築した嫌気性銅還元マイクロコズム(河川汽水域底泥が接種源)の継代培養を続け,銅板または,銅板と金蒸着ガラス棒を密着して入れた培養物(Cu区,AuCu区,25℃,70日間静置培養)において嫌気性細菌の増殖を確認することができた.培養物のヘッドスペースガスを分析したが,水素などのガス生成は認められなかった.この培養中の銅(II)イオン定量によって銅イオンの還元(約1.5 mM)が認められ,培養48日後に抽出したDNAを用いた次世代シークエンス解析(16S rRNA遺伝子)から,Alteromonas科(Cu区41.9%,AuCu区68.9%)と優占化していた.またこの培養中のCu区からは培養10日目以降に褐色沈殿物が生じたため,これらを回収して嫌気チャンバー内で乾燥後,X線結晶回折(XRD),および蛍光X線分析(ED-XRF)解析を行い,硫化銅(Cu2S)または酸化銅(Cu2O)であるという結果を得た.NGS解析で得られた優占した細菌科(Alteromonas科)においては,銅耐性を有する細菌種の報告があること,また接種源に用いた土壌のみを培養した場合では,優占化しなかったことから銅イオンを電子受容体として用いて優占化していることが示唆された.また,前年度のNGS解析データと今年度のデータを合わせたシークエンスデータの統計的解析(NMDS解析)からも継代による大きな菌叢変化は認められていないことから安定した継代ができたことが明らかとなった.一方,炭素源として添加している炭酸水素ナトリウムの分析において,培養物の嫌気環境を構築するための窒素ガスによるバブリングが培地中からの炭酸減少につながる可能性が分かったため,添加方法などの変更を検討する必要があることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って,前年度までに構築した銅還元ができる嫌気性細菌の集積培養物(マイクロコズム)を複数回継代培養して,安定して銅還元が可能であることが分かった.継代培養物の銅還元能力は1~2 mM程度と低いが,これらの培養物中の16S rRNA遺伝子を標的とした細菌群集解析から,Alteromonas科属する細菌の優占化が確認された.これらの科に属する細菌には,銅耐性を有するあるいは金属の還元能を有する細菌が属するという報告があることから,培養物中の銅イオンの還元に関与していると推察された.また,銅イオン還元が認められた培養物中にのみ生成した沈殿物についてX線回折および蛍光X線分析を行った結果,硫化銅あるいは酸化銅の混合物である可能性が高いことが分かった.計画ではUNSWのMichael Manefield教授とデータ解析を行うため渡豪を予定していたが,コロナ禍のためオンラインでのミーティングにより結果に対する意見交換を行った.以上の結果より,本研究は概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでの継代培養によって優占化したと考えられるAlteromonas科の分離培養を目指し,この細菌科に最も適した培地を用いた培養や銅板を電極とした電気化学的培養などを行い,昨年度までの培養で得られた培養物が有していた銅還元能(1~2mM)よりも高い銅イオン濃度にて,マイクロコズムの培養(馴養)および銅還元細菌の単離を目指す.
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Causes of Carryover |
昨年度の予算内で計上した蛍光X線分析を外部委託したが,予想していた金額よりも少ない額で解析が行われたため,当初予定の使用額からの残額が発生した.この研究費については,次年度予定している培養(電気化学的培養)や外部委託解析(NGS解析)などに用いる予定である.
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