2022 Fiscal Year Annual Research Report
相間移動触媒を用いた立体選択的なエステル官能基変換反応の開発
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20K05497
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 英治 九州大学, 理学研究院, 助教 (70782944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 信 九州大学, 理学研究院, 教授 (40301767)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エステル不斉加水分解 / 第四級アンモニウム塩 / シンコナアルカロイド / アミノ酸エステル / 加アミン分解 / 優先富化現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では、シンコナアルカロイド由来キラル四級アンモニウム塩を触媒とするエステル不斉加水分解の反応機構解析(DFT計算)およびアズラクトン類の不斉加アミン分解反応を検討した。 前述のDFT計算を用いた反応機構解析では、動的速度論分割型のエステル不斉加水分解において、エステルの分子内環化によるアズラクトン生成(①)、続くアズラクトンのラセミ化(②)とHFIPによるアズラクトンの開環(③)によってエステルのラセミ化が進行するという当初の仮説と良い一致を示すエネルギーダイアグラムを示すことができた。また、IGMplot分析を行い、立体選択性を制御する遷移状態において重要となる相互作用、オキシアニオンホールを形成する水素原子と基質アミドとの水素結合や基質-触媒間でのπ-スタッキング、ヘテロ原子-水素間での水素結合などを具体的に挙げることができた。これらの知見は今後の触媒開発の指針の一つとして有用である。ここで得られた成果は、国際の海外学術誌(J. Org. Chem. 誌)に受理され、発表済みである。 また、前年度後半に研究の端緒を見出した窒素求核剤によるアズラクトンの開環反応についても引き続き検討した。初期検討では収率、選択性がいずれも中程度であったが、今年度の検討では、さらにアズラクトン基質の置換基や触媒スクリーニング、反応条件の最適化を行ったところ、高収率(>90%収率)、高選択的(>85% ee)な触媒系を見出すことに成功した。本検討の生成物に関しても優先富化現象を伴う再結晶操作によって容易に光学的に純粋な化合物として得ることが可能である。
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Remarks |
http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/Hiheikou/index.html
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Research Products
(1 results)