2020 Fiscal Year Research-status Report
包接化合物のCO2選択性向上に向けた結晶構造チューニング
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20K05594
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
神 裕介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (30462857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲストホスト相互作用 / ガス分離 / 結晶合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造H型ハイドレートを生成する大きなゲスト分子(LMGS)について、量子力学計算にて既存のLMGSの分子形状を数値化し、新たなLMGS候補を選定した。その選定したLMGS候補分子を用いて構造H型ハイドレートが生成するかどうかについて、メタン分子をヘルプ分子として実際に合成を試みた。 構造H型ハイドレートの生成が確認できなかったLMGS候補分子もあったが、R2年度で検討したLMGS候補分子の内4種類の分子については構造H型ハイドレートの生成を確認し、粉末X線回折法から結晶格子サイズを計測した。既存のLMGSについてもメタン分子をヘルプ分子として構造H型ハイドレートを合成し結晶格子サイズを計測し、LMGSの分子形状が構造H型ハイドレートの結晶格子サイズに与える影響を考察した。研究実施計画で記載したように、LMGSの分子長によって概ね結晶のc軸が変長することがわかった。またLMGSにハロゲンなど極性のある官能基が付いていると、同サイズのLMGSよりもc軸が短くなることが明らかとなった。 R4年度に実施予定の構造H型ハイドレートを利用した実践的なガス分離(結晶生成のカイネティクス)の検討にはハイドレートの相平衡温度圧力条件が必要となるため、構造H型ハイドレート生成が確認できたLMGSについては相平衡温度圧力条件の計測の準備を行い、数点の相平衡温度圧力条件を決定した。なお、構造H型ハイドレートの生成が確認できなかったLMGS候補分子については、ハイドレート結晶に対する機能を評価するために相平衡温度圧力条件を計測し、構造I型のハイドレート結晶の生成を熱力学的に阻害するインヒビタとして機能することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造H型ハイドレートを生成する新たなLMGSを発見することができ、既存のLMGSを含めて構造H型ハイドレートの結晶サイズにバリエーションがを持たせることに成功し、CO2が構造H型ハイドレート包接されにくい原因を探るための下準備ができた。しかしながらケージサイズを検討するために利用する予定のラマン分光器のレーザー強度の不具合により、LMGSの分子形状によるケージサイズの変化の調査が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
懸念事項であったラマン分光器のレーザー強度の不具合についてはその原因を特定し、間も無く問題が解決される予定である。。今後の研究の進め方としては、レーザー強度の不具合が解消され次第LMGSの分子形状によるケージサイズの変化の調査することを考えている。そレーザー強度の不具合が解消されるまではさらなる新規LMGSの探査を前倒しで実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
(1)コロナの影響により学会参加による旅費の支出がなくなったことと、(2)本事業とは別の実施予定研究テーマのスケジュール変更により、以前運営交付金で導入していた物品(物品費で導入予定の物品)を本事業に利用することが可能となったため次年度使用額が生じた。本年度は昨年度の残額を活用しR4年度で導入を予定してる物品導入の前倒しを計画しており、それにより研究の加速化を図る予定である。
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Research Products
(1 results)