2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hydrogen peroxide synthesis by Au nanoparticle-TiO2-SnO2 plasmonic photocatalyst
Project/Area Number |
20K05674
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
多田 弘明 近畿大学, 理工学部, 教授 (60298990)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 光触媒 / 過酸化水素合成 / プラズモン |
Outline of Annual Research Achievements |
過酸化水素は、クリーンな酸化剤としてのみならず、燃料電池用の燃料としても有望であることから、今後その重要性が一層増すものと予想される。現在、過酸化水素の大半は、アントラキノン法を用いて工業的に大量生産されているが、この方法は大量のエネルギーと水素、有機溶媒を消費する多段階プロセスであることから、安全かつ環境に優しいon-site合成法の開発が強く望まれている。本研究では、過酸化水素合成用の可視光応答型光触媒として、金ナノ粒子-TiO2-SnO2からなる新奇三元系プラズモニック光触媒(以下、本光触媒)をデザインし、その合成、光触媒活性の評価、作動原理の解明、さらに活性向上を目的として検討を行った。以下に、主な研究成果をまとめる。 1.水熱法-析出沈殿法を用いて、TiO2ナノ結晶からSnO2ナノロッドをヘテロエピタキシャル成長させたのちに金ナノ粒子を担持することによって、目的の本光触媒を合成した。2.本光触媒を固定した電極を作製し、光電流の照射光の波長依存性を測定した結果、この電極が可視光全域で応答することを確認すると共に、水の酸化による光電流を観測することに成功した。さらに、この光電流が、Au/SnO2, Au/TiO2二元系よりも大きいことが判明した。3. 本光触媒を空気飽和エタノール水溶液中に分散後、可視光を照射することにより、酸素二電子還元が進行し過酸化水素が生成することが確認された。また、本光触媒は、Au/SnO2, Au/TiO2二元系を超える高い光触媒活性を示すことが明らかになった。さらに、本光触媒の高い活性が、Au(on TiO2)→TiO2→SnO2→Au(on SnO2)方向の界面電子移動による電荷分離効率の向上、Auナノ粒子の酸素二電子還元に対する電極触媒活性、さらにSnO2の過酸化水素分解に対する低い触媒活性からなる複合効果に起因することを明らかにした。
|