2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of sulfur-assimilation mechanism in bifidobacteria
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20K05801
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
和田 大 摂南大学, 農学部, 教授 (00301416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吹谷 智 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (10370157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビフィズス菌 / 硫黄代謝 / 含硫アミノ酸 / システイン / メチオニン / シスタチオニン |
Outline of Annual Research Achievements |
ビフィズス菌は広くCys要求性であると考えられてきたが,これまでの研究から,Bifidobacterium lomgum subsp. longum 105-A(105-A株)をはじめとする複数の菌株のCys要求性は,Metで代替可能であることを明らかにしている.これらの菌株はMetからCysへ代謝する逆流硫黄経路を有することが推定される.本経路は,(I) Metからホモシステイン(Hcy) へ代謝するS-Adenosyl methionine回路,(II) Hcyからシスタチオニン (Cth),さらにCysへと代謝する経路により構成されると考えられる.(II) の経路の解明を目的として,CthからCysへと代謝するCystathionine-γ-lyase (CGL), HcyからCthへと代謝するCystathionine-β-synthase (CBS) の機能を有する酵素遺伝子について,105-A株のゲノム配列からの同定を進めてきた.そこで本研究では,それらの機能について,遺伝子欠損株を用いた解析を行った. CGLおよびCBSの候補遺伝子について,二重相同組み換え法を用いて遺伝子欠損株を構築した(ΔBL105A_0509,ΔBL105A_0510).また,ビフィズス菌最少培地 (BMM)に単一有機硫黄源としてCys / Met / Cthを添加した培地を用いた生育試験を行い,野生株とΔBL105A_0509,ΔBL105A_0510の間で生育を比較した. BMM+Cys培地ではどちらの欠損株も野生株と同様の生育が観察されたが,BMM+Met培地では両変異株ともに生育の低下が観察された.さらに,BMM+Cth培地ではΔBL105A_0509は野生株と同様に生育したが,ΔBL105A_0510は生育の低下が観察された.これらの結果から,BL105A_0509とBL105A_0510はそれぞれCBS, CGLの機能を持つ遺伝子であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた推定ホモシステイン合成酵素遺伝子BL105A_0756のクローニングと大腸菌での発現に成功している。本遺伝子産物の発現はSDS-PAGEで確認し,良好なタンパク質の生産が確認された。しかしながら、本遺伝子産物の無機イオウ取り込み活性は確認できなかった。原因としては1)大腸菌で生産した本遺伝子産物が活性型でない。2)本遺伝子産物はそもそも、無機イオウ取り込み活性を持たない。この2つのどちらかが理由と考えられる。これらの原因の検証に努めたが、現時点ではBL105A_0756の機能の特定には至っていない。この部分に関しては、当初の研究計画よりも遅れている面がある。 一方、 ホモシステインからシスタチオニン (Cth),さらにCysへと代謝する,逆流イオウ経路後半の遺伝子に関しては、BL105A_0509とBL105A_0510の2つの遺伝子に関して遺伝子破壊株を作成し、その機能をほぼ実証することができた。また、プラスミドによるBL105A_0509およびBL105A_0510の相補株も作成した。さらにこれらの遺伝子とアミノ酸配列が類似のBL105A_1451のクローニングと大腸菌での発現に成功している。 したがって、全体としては本研究の目的である「ビフィズス菌の硫黄獲得機構の解明」に近づいていると考えており、研究の進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は組換えタンパク質の機能解析に重点を置く計画である。すなわち、すでにクローニングと大腸菌での発現に成功しているBL105A_0756の機能解析、および遺伝子破壊実験で機能を推測した、BL105A_0509とBL105A_0510の2つの遺伝子産物のタンパク質側からの機能解析である。遺伝子破壊実験からBL105A_0509とBL105A_0510はそれぞれCystathionine-β-synthase (CBS), Cystathionine-γ-lyase (CGL)の機能を持つ遺伝子であると考えられた。 しかしながら、それらの遺伝子産物の機能は実証されていない。大腸菌を宿主としてBL105A_0509およびBL105A_0510遺伝子を発現させて、組換えタンパク質を調製する。その後、BL105A_0509産物が実際にホモシステインからシスタチオニンを合成することができるのか、BL105A_0510産物がシスタチオニンからシステインを合成することができるのかを検証する。酵素反応生成物の同定には蛍光HPLCを用いる予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度までの研究では、HPLC装置の準備が整わず、遺伝子産物の機能解析が十分に行えなかった。本年度は組換えタンパク質による代謝産物同定が必要であり、基質や生成物の購入が必要である。また、代謝産物同定にはHPLCによる分析が必要であるため、カラムなどの消耗品も必要となる。そのため、次年度にまとめて予算を執行する計画である。
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Research Products
(2 results)