2020 Fiscal Year Research-status Report
Basic study on antitumor effects using the cancer cell specific metabolic reprogramming.
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20K05877
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
照屋 輝一郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (10273971)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗腫瘍効果 / フコイダン / 代謝リプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はがん細胞の代謝リプログラミングをターゲットとし、がん細胞と正常細胞を厳密に識別し、がん細胞を抑制する手段の開発を目的としている。がん細胞のがん形質が悪性化する過程で生じる代謝リプログラミングに関して定量的な検討を行うため、令和2年度は主に正常細胞や各種のがん細胞における代謝リプログラミングの状態をタイピングするための系の構築を行った。これまでの研究においてがん細胞特的な増殖抑制効果を有することを見出した酵素消化低分子化フコイダン抽出物(LMF)を各種がん細胞株に処理したところ、がん細胞株の種類により、LMFに対し感受性の高いがん細胞株や反対に低感受性のがん細胞株があることが確認された。この感受性の違いはがん細胞の代謝リプログラミング状態に関係する可能性が示唆された。LMF高感受性のがん細胞株とLMF低感受性のがん細胞株の細胞代謝に関わる項目を検討したところ、細胞の乳酸生成とミトコンドリア状態に違いがあることが判明した。LMF高感受性がん細胞は乳酸生成量が多く、LMF低感受性がん細胞は乳酸生成量が低いことが判明した。またミトコンドリアでATP合成を阻害する脱共役剤FCCPを用いて検討した結果、LMF低感受性がん細胞はFCCPによるミトコンドリア活性の低下が顕著であったが、LMF高感受性がん細胞はFCCPの影響を受けにくいことが判明した。これらのがん細胞は代謝リプログラミングの状態が異なっていると考えられ、これらの細胞株は代謝リプログラミング状態のタイピングを行う系として利用できると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん細胞と正常細胞を厳密に識別してがん細胞を抑制する手段の開発を目的とし、令和2年度における検討項目であったがん細胞の代謝リプログラミング状態のタイピングを行う系を構築するための準備は進んでおり、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降の研究推進に関しては大幅な変更は必要ないと考えられる。計画書に従い、目標達成に向け研究を推進する。研究の実施においては、代謝リプログラミングをターゲットとしたがん抑制効果を有する食品・天然物・化合物のスクリーニング系の構築、代謝リプログラミングに作用する活性のメカニズムの解明、そして代謝リプログラミングを利用したがん細胞特異的ながん抑制の基盤研究の構築に関して検討を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)